『ケマル・アタテュルク』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『ケマル・アタテュルク』小笠原弘幸著
[レビュアー] 産経新聞社
建国100年を迎えたトルコ共和国の「建国の父」と称されるムスタファ・ケマルの伝記。アタテュルク(父なるトルコ人)は1934年に議会から与えられた姓。
オスマン帝国が第一次大戦で敗れ、アナトリアが西欧列強による分割の危機にさらされる中、ケマルは救国の英雄として活躍。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたことは、日本でも知られている。本書は国民国家形成の経緯からさらに踏み込んで、ケマルが絶対的な権力を手に入れ、建国がケマル一人によって実現されたという神話が形成される過程も追っている。家族や同志たちとの関係も。(中公新書・1100円)