『決定版 仏画の見方』
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『決定版 仏画の見方』大原嘉豊著
[レビュアー] 産経新聞社
著者は京都国立博物館学芸部の教育室長。仏教の歴史や仏像の特徴をひもときながら仏画の様式や画材を解説し、国宝などに指定された作品を紹介している。こう書くと難しそうだが、絵を描く絹の薄さを「過激なくらいスケスケ」と言い表すなど、日常会話のような言葉でその魅力に引き込む。
作品紹介の章では、美術コレクターとして知られた近代の実業家らの横顔も載せた。ときどきユニークな一言が交じる。例えば、三井財閥を率いた団琢磨の収集がセオリー通りに映るのは「バリバリの理系の人」だからとみる。楽しみながら知識を深め、鑑賞力を磨ける一冊だ。(淡交社・3850円)