『どんマイナー武将伝説』長谷川ヨシテル著

　二〇一八年二月に、この著者の『ポンコツ武将列伝』をご紹介したことがある。著名な武将たちの人間的に弱い部分にスポットをあてた愉快な人物列伝だった。今度の本書は「どん」のつく超マイナーな武将たち、大河ドラマにも、ベストセラー歴史小説にも縁が薄かった知られざる武将たちの生き様を見つめてみようというコンセプトの一冊だ。北から南まで、総勢七十人以上も登場する。

　一口にどんマイナーといっても、その様相はいろいろだ。他の著名な武将の陰に隠れて、スポットライトが当たらなかったタイプ。地元では銅像が立つくらい有名なのに、全国区では「これ誰？」のタイプ。三好三人衆や龍造寺四天王のように、凄（すご）いユニットなんだけどモブキャラ扱いされてきたタイプ。その偉業がマニアックなので、教科書に載らなかったタイプ。目次を見ると、確かに知らない名前がいっぱいだ。コラム「武将の下の名前『長政』多すぎ問題」も、有名無名の長政がこんなに大勢？　という意外な発見がある。歴史小説を書きたい方には、次世代の主人公探しの一助になりそうです。（柏書房、１８７０円）

• 宮部みゆき
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