『韓国の国防政策』伊藤弘太郎著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

韓国の国防政策

『韓国の国防政策』

著者
伊藤 弘太郎 [著]
出版社
勁草書房
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784326303342
発売日
2023/11/16
価格
3,960円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『韓国の国防政策』伊藤弘太郎著

[レビュアー] 小泉悠(安全保障研究者・東京大准教授)

 日本の隣国、韓国。経済からK―POPまで、あるいは領土問題から歴史問題に至るまで、良くも悪くも我々の結びつきは深い。

 だが、その韓国の国防政策がどうなっているのか、パッとイメージが浮かぶ人は少ないのではないか。安全保障研究を生業としている私でさえそうなので、多くの読者にとっては「いや、そんなこと言われても」というところであろう。

 しかし、本書の冒頭でも触れられている通り、近年の韓国は急速に軍事大国化しつつある。国防費はもはや日本と同等かそれ以上で、長距離ミサイルの配備や武器輸出では日本のずっと先を走る。この辺の事情をコンパクトかつ中立的にまとめたところに本書の第一の意義があると言えよう。

 第二の意義として、本書の視点のユニークさを挙げたい。軍事力や国防政策そのものについても触れてはいるのだが、より大きな力点は国防産業政策や武器輸出、そして国防外交に置かれている。本書のタイトルにある国防政策というのは、こうした幅広い領域の集合体であり、読者の視野を広げてくれるだろう。(勁草書房、3960円)

読売新聞
2024年3月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク