『安全保障の戦後政治史』塩田潮著

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安全保障の戦後政治史

『安全保障の戦後政治史』

著者
塩田 潮 [著]
出版社
東洋経済新報社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784492062234
発売日
2023/10/04
価格
3,080円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『安全保障の戦後政治史』塩田潮著

[レビュアー] 小泉悠(安全保障研究者・東京大准教授)

 日本の安全保障政策は大きな転換点を迎えている。その意義を理解するためには、転換前の安全保障政策はどんなものであり、どのような道筋を辿(たど)って転換へと至ったのかを知らねばならない。日本の敗戦から岸田政権による安保三文書改定にまで至る戦後史を描いた本書は、うってつけの一冊と言えよう。

 面白いのは、「永田町の中の論理」と「安全保障の論理」のぶつかり合いが正面から描かれている点だ。両者は別個のものとして扱われがちだが、政治家にとってはそうではない。選挙、財政、領土問題、憲法、安保条約などが渾然(こんぜん)一体となって立ちはだかり、その果てに政策が出てくるということが本書を読むとよくわかる。「政治家の頭の中」を覗(のぞ)いているような感覚とでも言おうか。

 その上で本書は、民意の重要性を指摘する。民意は常に正しいとは限らないが、戦後日本は曲がりなりにも民意に基づく国家であり続けてきた。だが、その民意を担う我々は、安全保障についてどこまで真剣に考えてきただろうか。ボールは我々の側に投げられている。(東洋経済新報社、3080円)

読売新聞
2024年2月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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