和菓子を作る大阪の小さな会社で働く人たちの物語。温かくて、ほろ苦い人間ドラマを紡いできた作家が描く。
有名企業から親戚が営む会社に転職した主人公の茉子(まこ)は、サービス残業や女性がお茶くみをするといった旧態依然のルールを見過ごすことができない。数々の理不尽さにあらがおうとするが―。タイトルにある「こまどり」の小さな体に、言いたいことをなかなか言えない人たちを重ねている。そうした人たちに、主人公が心を寄せていく。両者の関係をとりなすように登場する和菓子が、物語に彩りを添える。山本周五郎賞候補作。(集英社・1870円)
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2024年5月12日 掲載
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