『わたしの隣の王国』
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明文堂書店石川松任店「テーマパークに用意されていたのは、とんでもないミステリ!」【書店員レビュー】
[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)
周囲から「空手一筋の女」と思われている空手少女の杏那と大学病院で研修医として働く優は交際していたが、互いの忙しさから中々デートの時間が取れずにいた。やっとのことで確保したデートの日、二人が訪れたのはファンタジー小説やコミックをモチーフにした日本最大級のテーマパークである《パーク・ハッピーファンタジア》だった。デート中、二人は本来なら立ち入ってはいけない場所に入ってしまう。そして二人のもともといた世界とは異なるもう一つの世界に杏那が呼ばれたことによって、二人は離れ離れになってしまう。
もう一つの世界を舞台に、冒険ファンタジーの要素を多分に含んだ杏那のパートと特殊な理由(その理由はテーマパークだからこそ、と言えるものです)が警察を呼ぶことの妨げになってしまう奇妙な殺人事件に遭遇した優のパートが交互に語られることで、物語は進んでいきます。そして二つのパートが結実した時、とんでもない真実が立ち上がります(これが本当にとんでもない!)。
一流のテーマパークと幼い頃に憧れたような異世界を舞台に、ミステリとファンタジーへの愛が迸る一冊です。