NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に登場する及川光博さん(46)演じる編集者・五反田一郎はある著名な作家がモデルだということをご存じだろうか?
■大きく動き出した物語
高畑充希さん(24)主演のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。4月の放送開始から今週7月4日には79回を迎え、全156話のストーリーも折り返し地点を越えた。長かった戦争が終わり、主人公小橋常子(高畑)が勤めていた甲東出版の面々も会社へと戻ってきた。山口智充さん(47)演じる谷誠治社長や及川さん演じる編集者・五反田らが復員し、雑誌「新世界」再開の編集会議が行われる。掲載する作品がないと困る一同だったが、五反田が小説家志望で「ロマンティックで美しい物語を書く」ということが谷から明らかにされる。その後常子は自分の作りたい女性向け雑誌創刊のために甲東出版をやめ、家族とともに動きだす――。
「とと姉ちゃん」で編集者・五反田一郎を演じる及川光博さん(及川光博オフィシャルサイトより)
■モデルとなった作家
常子のモデルが実在の雑誌「暮しの手帖」を創刊した大橋鎭子であることはよく知られている。同様に編集者の五反田にもモチーフとされた人物がいる。それは作家の柴田錬三郎だ。柴田錬三郎は1945年日本出版協会に勤めており、戦前より続く「日本読書新聞」を再刊する。その編集部には大橋鎭子も在籍しており、後に大橋と「暮しの手帖」を創刊する花森安治も関わっていた。また花森と関係の深い日本読書新聞の編集長・田所太郎の要素も五反田のキャラクターには託されているのだろう。
似てる?! 及川さん演じる五反田のモデルとなった、小説家・柴田錬三郎氏
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■剣豪小説ブームの生みの親
柴田は戦後、子供向けの小説や通俗小説を手がけた後、本格的な文筆活動に入り、1952年『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞する。そして1956年創刊されたばかりの「週刊新潮」に「眠狂四郎無頼控」を連載し大きな話題となった。「週刊新潮」50万部突破の牽引役ともなり、一大剣豪小説ブームを生みだした。
■五反田の今後に期待
柴田が作りだしたニヒルでダンディな主人公・眠狂四郎は日本人と外国からやってきたバテレンのハーフという設定。五反田を演じる及川さんも日本人ばなれしたクールな魅力があり、どことなく眠狂四郎を思い起こさせる。柴田は後にテレビ番組で殺陣を披露することもあった。「とと姉ちゃん」では常子が甲東出版をやめてしまうと五反田の登場シーンが減ると思われ、SNS上では「五反田ロス」との嘆きが飛び交っている。しかし今後五反田が流行作家となり、その活躍が描かれることとなれば、近いうちに及川さんの華麗な殺陣が見られる日もやって来るかもしれない。史実との関係を念頭に置きながらも楽しめる「とと姉ちゃん」。高視聴率が続くのもうなずける。
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