一瞬で目が覚める! 伊坂マジックに彩られた『クジラアタマの王様』 ベストセラーランキング初登場1位

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 7月5日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『クジラアタマの王様』が獲得した。
 第2位は『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7』。第3位は『ツナグ 想い人の心得』となった。

 1位の『クジラアタマの王様』は2019年に伊坂幸太郎さんが発表したエンターテイメント小説。小説にコミックが挟み込まれた意欲的な作品だ。お菓子メーカーに務める会社員に降りかかるトラブルと夢の中のファンタジックな冒険が描かれる。読み進むうちに夢の中の物語が何を意味しているのかに読者は気づき、伊坂作品ならではの鮮やかな伏線回収を楽しむことができる一冊となっている。

 書評家の大矢博子さんは同書を《暑さに負けてゴロゴロしているあなたの目を一瞬で覚ましてくれるサプライズに満ちた作品》と紹介。伊坂作品はファンタジックで飄々とした文体で描かれるが、その内容は《シビアなほどの現実》《生きていれば否応無く出会う数々の理不尽》と解説。今作も《その理不尽に対し、私たちは何ができるのか。何をすべきなのか。本書のベースにもその問いかけがある。》と伊坂作品のもつ社会的な意義を解題している

1位『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎[著](新潮社)

記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?――製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこには思いもよらぬ「繋がり」があり……。伊坂マジック、鮮やかなる新境地。(新潮社ウェブサイトより)

2位『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7』衣笠彰梧[著](KADOKAWA)

体育祭が終わり、高度育成高校初の文化祭が迫っていた。クラスに壁を作る長谷部や三宅、そして高円寺のような非協力的な生徒がいつつも、メイド喫茶の準備を秘密裏ながらも着々と進める綾小路たち。だが龍園はその動きを見逃さず堀北クラスとの協力契約を突如破棄。龍園クラスもまたコンセプトカフェの開催を宣言、さらに売上での一騎打ちを要求する。一方、Aクラスへの可能性を失った自クラスに失望した神崎、そして綾小路に対決を反故にされ様子の変わった南雲生徒会長。2人に綾小路が自ら働きかけを始め――!?「南雲生徒会長に提案があります。今度はオレから生徒会長へ勝負の提案をさせてもらえないでしょうか」(KADOKAWAウェブサイトより)

3位『ツナグ 想い人の心得』辻村深月[著](新潮社)

僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(新潮社ウェブサイトより)

4位『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』宮部みゆき[著](KADOKAWA)

5位『浮世小路の姉妹』佐伯泰英[著](光文社)

6位『母性』湊かなえ[著](新潮社)

7位『三千円の使いかた』原田ひ香[著](中央公論新社)

8位『月の満ち欠け』佐藤正午[作](岩波書店)

9位『龍神と許嫁の赤い花印~運命の証を持つ少女~』クレハ[著](スターツ出版)

10位『Re:ゼロから始める異世界生活30』長月達平[著](KADOKAWA)

〈文庫ランキング 7月5日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年7月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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