ロック界の下半身の相関図が見えるミック・ジャガーの性豪伝説 『不道徳ロック講座』試し読み

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 ミュージシャン、俳優、タレント、スポーツ選手など人に見られる仕事に就く人たちがスキャンダルで受けるダメージが大きくなっている。日本では違法薬物に手を染めたために、過去の作品の販売が見合わされることも起きた。不倫が理由で活動自粛や謝罪に追い込まれたケースも多い。

 もちろん海外でもこの種のことはあるけれど、日本は顕著だ。ごく個人的な問題でも自粛や謝罪につながりやすい。

 こうした日本の状況しか知らずに海外アーティストのバイオグラフィやインタビュー記事を読むと驚かされる。

 その多くが赤裸々。「えっ、そんなこと活字で残しちゃっていいの?」と心配になるレベルのエピソードが語られている。

『不道徳ロック講座』(神舘和典・著)は、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、ジョン・レノン等々、レジェンド級のアーティストたちの自伝や評伝などをもとに、あまりに大胆、豪快、不謹慎なエピソードの数々を紹介した1冊だ。

 その中から、「I 性」の冒頭部分を公開する。

 ***

ロック界の性豪ミック・ジャガー

 ロック・スターは恋愛に奔放だ。目の前に魅力的な女性が現れたら遠慮などしない。拒否されようが、ライバルと争うことになろうが突き進む。ぐずぐずとためらうタイプもいるけれど、結局はいく。
 アニタ・パレンバーグ(女優。キース・リチャーズの元内縁妻)、アンジェリーナ・ジョリー(女優)、エリック・クラプトン(ギタリスト)、カーラ・ブルーニ(モデル、シンガー。エリック・クラプトンの元彼女)、カーリー・サイモン(シンガーソングライター)、ジェリー・ホール(モデル)、ジャニス・ディキンソン(モデル)、デヴィッド・ボウイ(ロックミュージシャン)、ニコール・クラック(モデル)、パット・アンドリュース(ブライアン・ジョーンズの元妻)、ビアンカ・ペレス・モラ・マシアス(ファッションミューズ。ミック・ジャガーの元妻)、ベット・ミドラー(シンガー)、ベベ・ビュエル(モデル。エアロスミスのヴォーカリストであるスティーヴン・タイラーの元恋人で女優のリヴ・タイラーの母親)、マーシャ・ハント(シンガー)、マリアンヌ・フェイスフル(女優、シンガー)、マリー・アンジェラ・バーネット(モデル。デヴィッド・ボウイの元妻)、ミック・テイラー(ギタリスト。ローリング・ストーンズの元メンバー)、メラニー・ハムリック(バレエダンサー)、リンダ・イーストマン(写真家。ミュージシャン、後にポール・マッカートニーと結婚)、リンダ・ロンシュタット(シンガー)、ルシアナ・モラド(モデル)……。
 これらは、ローリング・ストーンズのヴォーカリスト、ミック・ジャガーとの関係が報じられた相手の一部(五十音順)。
 そうそうたる顔ぶれだ。もちろん同時期に複数の女性と交際している。有り余るエネルギーをコンスタントに放出しないと、自分を維持できないのだろう。友人やバンドメンバーの妻や恋人もいる。しかも、女にもいくけれど、男にもいく。
 関係した相手は、ここで紹介しているような著名人だけではない。ファンだろうが、自分の家で働く家政婦さんだろうが、視界に入る存在に次々と迫る。相手はミックからのアプローチに応じて身体を許す。双方同意のもとに行われる自由恋愛だ。スーパースターだからこそ。そんな詳細が彼の伝記『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』(クリストファー・アンダーセン著/岩木貴子、小川公貴訳/ヤマハミュージックメディア刊)には書かれている。この書籍は自叙伝ではないものの、本人への取材はもちろん、友人や家族、元妻、愛人らの証言を盛り込んだ伝記である。暴露本ではなく、ほぼ本人公認の伝記と言っていいだろう。私生活をここまでオープンにしているミック・ジャガーをリスペクトすらしてしまう。
 どんな人にも恥ずかしい体験はある。ふつうは隠したい。有名であればなおさら人に知られたくない。それをあえてさらすことの潔さが、ミック関連の書籍やインタビュー記事から感じられる。
「4000人以上という、ミックの浮気相手に関する新たな事実」
「同性のロック界の大スターたちとの関係」
『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』(以下、『ワイルド・ライフ』)の帯に書かれているコピーだ。4000人という数にも、同性とも関係するという事実にも、アンダーセンの取材量にもびっくりさせられる。以下、同書をもとに見ていこう。
 ミック・ジャガーは、1943年にイギリス、イングランドのケント州、ダートフォードで生まれた。キース・リチャーズ(ギター、ヴォーカル)、ブライアン・ジョーンズ(ギター)、ビル・ワイマン(ベース)、チャーリー・ワッツ(ドラムス)とともに結成したローリング・ストーンズのヴォーカリストとして1963年にレコードデビュー。以来60年にわたって世界のミュージックシーンのトップを走り続けている。
 本章をミック・ジャガーのエピソードから始めるのには理由がある。たくさんの女性とセックスするので、ミックは多くの男性アーティストとライバル関係になる。恋愛歴には当然たくさんのアーティストが登場することになる。ビッグネームもごろごろいる。その結果、ロック界の下半身の相関図が見えてくる。

続きは書籍でお楽しみください

神舘和典
1962年東京都出身。雑誌および書籍編集者を経てライター。政治・経済からスポーツ、文学まで幅広いジャンルを取材し、経営者やアーティストを中心に数多くのインタビューを手がける。中でも音楽に強く、著書に『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』など。

新潮社
2023年8月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「新潮」「芸術新潮」「週刊新潮」「ENGINE」「nicola」「月刊コミックバンチ」などの雑誌も手掛けている。

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