誤って上書き保存したExcelファイルを復元、2つのファイルを同時に見比べる。全部マウスなしのショートカットでできます

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誤って上書き保存したExcelファイルを復元、2つのファイルを同時に見比べる。全部マウスなしのショートカットでできます

[文] 山岸美夕紀

岡田充弘
岡田充弘

『仕事が速い人ほどマウスを使わない! 超速パソコン仕事術』が大好評を博している岡田さん。さらにエクセルに特化した一冊を!という読者の声を受けて、このたび『仕事が速い人ほどマウスを使わない! 超速エクセル仕事術』がリリースとなりました。10代から80代の方まで幅広い読者に支持される本書がどのように生まれたのか、詳しくお聞きします。

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――『超速 エクセル仕事術』は、前作の『超速 パソコン仕事術』と同様に、「内容に衝撃を受けました!」「作業が格段に速くなりました!」といった反響が続々届いています。本書は、世の中にたくさん出ているいわゆる“エクセル本”とは一線を画すものですね。

 はい。たとえば、エクセル本に必ず入っている「VLOOKUP」関数や「ピボットテーブル」などの大ワザは完全に省きました。グラフの便利な使い方なども入れていません。全機能を網羅したエクセル専門書とは、構成も目的もまったく違う形ですね。

 担当編集者の重村さんにアドバイスをいただきながら、「頻度の高い作業に使える時短ワザ」にフォーカスをしてつくりました。使いこなせばかなり時短できるけれどスルーしてしまっている、もったいない細かいワザを整理したという内容です。

 ですから、難しいものはまったくありません。使いこなしている人にとっては“当たり前”のワザであっても、初めて知る人にとっては「えっ!? こんな便利な操作法があったの!?」と目からウロコ、というものを集めています。一冊丸ごとあなたの知らないワザばかり、というわけではなく、「知らない便利ワザを補完する」というイメージかもしれません。本書には70個のワザを載せていますが、仮に知らない知識が2割くらいであったとしても、その2割を知っただけで作業効率は格段に上がると思います。

――「エクセルの使い方」ではなく、「エクセルの意外と知らない時短ワザ集」といった内容ですね。“キーボードをサクサク動かす設定“や“ファイルを復元する方法”などの基本設定から、プリントアウト時のトラブルをなくすための方法まで、幅広いお役立ちワザが詰め込まれています。パソコンには割と詳しいほうだと思っていた私も、ビックリしたワザがいくつもありました。

 方向キーやカーソルを何回も叩くことなく、一発でカーソルを前や後ろに移動させたり、一発で選択したい文字やセルの範囲を指定したり、一発で郵便番号を住所に変換したり。頻度の高い作業に絞って、キーボードだけで操作でき、かつ“押す”という行為をできるだけ少なくすることにこだわりました。

 どれも地味なワザですが、知った時には驚きと共に、これまで無駄にした時間に対する後悔もすごいですよね。「ああ、もっと早く知っていればあの飲み会にもこのレジャーにも行けたのに……」っていう。(笑)

 実際、僕はほとんどマウスを使わずにキーボードのみで作業をしているのですが、初めて見るワザを目の当たりにした人から「ちょっと待って、今何したん!?」と言われることも多々あります。初めて原始人にライターの火を見せたときの反応みたいな。(笑)

もしものときも安心。誤って上書き保存したファイルを復元する方法
もしものときも安心。誤って上書き保存したファイルを復元する方法

見比べるのに便利なウィンドウの左右寄せと、最大化・最小化
見比べるのに便利なウィンドウの左右寄せと、最大化・最小化

――その衝撃はすごいですよね。そもそもなぜ、岡田さんはマウスを使わない時短ワザを追求するようになったのでしょうか?

「マウスを使わずどこまでいけるか」という、ゲーム的な感覚ですよね。そういったワザがずっと好きで、長年、積み重ねてきました。

 僕の経営する会社でも、マニュアルを作り、社員たちにこれらの時短ワザを覚えてもらっています。一日一個マスターしたらステータスをクローズにさせていくというように、仕組みとルーチン化しているんです。忍者が日々ぐんぐん育っていく苗の上をジャンプする訓練をするようなイメージで、小さな積み重ねがいつか大きな成果となっていきます。

 ただ、手元の技術を速くするだけでなく、同時に段取り力もセットで身につけていくのが理想だと思っています。

――苦労した点はどんなところですか?

 やっぱり、ワザの選定ですね。どこを削ってどれを残すかというのが難しいところでした。僕にとって頻度が低いために覚えてこなかったワザもあるでしょうし、最初は正直、不安もありました。

 でも、重村さんに「書店では“パソコンの棚”ではなく“仕事術”の棚に置いてもらうイメージなので、仕事から逆算していって必要な技術だけでいいですよ」と言ってもらって。そう考えると書きやすくなりましたね。

――岡田さん的にはどのワザ、または章が一番オススメですか?

 このワザを知っているからこのワザが生きてくる、という流れがあるので、どれかひとつとなるとなかなか難しいですが、まずはカーソルやセルの「選択」や「移動」といった頻度の高い基本の作業ですね。

 その次に“ショートカットで日付や時刻を入力する”、“郵便番号を一発で住所に変換する”といった「入力を簡単にするワザ」を覚えていく。

 入力スピードが速くなると、手元が脳のスピードについていけるようになって、思考を邪魔しなくなりますよね。

 たくさんの書類を見るとき、やはり紙資料を机の上に並べる人が多いと思うのですが、パッと画面を切りかえたり、一瞬で複数のブックを並べて整列させたりすることができるようになれば、小さな画面の中でも混乱せず閲覧したり作業ができるようになり、よりペーパーレス化も進むと思います。

 エクセルをたんなる表計算ソフトとしてだけではなく、思考を整理し気づきを得るためのツールとしてより深く使いこなしてもらえれば嬉しいですね。

岡田充弘
岡田充弘

――最後にオススメの本をお願いします。

 ビジネス書は多く読み、中でも企業経営者の本が好きなのですが、『ライク・ア・ヴァージン ビジネススクールでは教えてくれない成功哲学』(日経BP社)は面白かったですね。

 音楽ショップ「ヴァージン・メガストア」や「ヴァージン・アトランティック航空」ほか、映画館や金融企業、携帯電話事業、食料品など多業種に参入している、多国籍企業「ヴァージン・グループ」の経営者であるリチャード・ブランソンの本です。

 彼はカリブ海にあるバージン諸島の無人島を買って自身で開発したリゾートアイランドに住んでいて、トロピカルジュースか何かを飲みながらiPadをシュッとやって、すごい富を生み出している。(笑)

 数十万人もの従業員を抱えていて、場所や時間など自由な働き方ができる斬新な企業制度も設けているようです。現在僕も3つの会社を持っており、今後も少しずつ手を広げようと思っているので、そのあたりも参考になりますね。

 僕は、電子書籍ではなく紙の本派なんですが、読んだらすぐに手放すんです。もう一度読み返したいと思ったらまた手に入れればいい。この本も、3回くらい買い直したと思います。

 本に限らず、モノや情報はなるべく手元におかず新陳代謝を心がけるようにしていて、パソコンもハードディスクが増えないような工夫をしています。

――なるほど、極力ムダを省くそのミニマルなスタイルが、時短ワザや仕事術にもつながっているのですね。本日はありがとうございました。

かんき出版
2017年9月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

かんき出版

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