ご近所や仕事関係の困った人と「ネトウヨ&パヨク」は同類だった

レビュー

4
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ネトウヨとパヨク

『ネトウヨとパヨク』

著者
物江 潤 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784106108129
発売日
2019/05/16
価格
820円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

聞く耳はないのに言う口は達者

[レビュアー] 林操(コラムニスト)

 安倍好きで中韓嫌いなのがネトウヨ、安倍嫌いで米国嫌いなのがパヨク。そういう違いはあるものの、思い込みが強すぎて対話ができないのは共通――。

 そのものずばり『ネトウヨとパヨク』とタイトルにうたってるだけあって、読み始めるとすぐ、くっきりと頭に浮かんでくるのは、ミギだヒダリだとネットで五月蠅(うるさ)いヤツらの像。

 ワタシなんか今まで遠巻きにしてきたけれど、著者の物江潤は実際にツイッターその他でネトウヨやらパヨクやらと接触して、彼らとの話の通じない具合、彼らの聞く耳を持たない具合を実体験してる。

 生身の世の中では身の周りに賛同者が集まりにくい極論の持ち主でも、ネットでは小宇宙を創ったり、そこに入り浸ったりすることが可能になっている。そう物江に指摘されて思い出したのは、下町で暮らす知り合いの愚痴。

 町内会にせよ小学校のPTAにせよ、高齢化・少子化・意識の変化その他いろいろで、祭りや行事を昔どおりやるのは無理なのに、地元で生まれ育った連中は、やれ伝統を守るだ、やれ筋を通すだと言い張るばかり。見直しの議論が始まりさえせず、しかも若い世代まで頭が固いんだそうな。

 こんな集団が、ご近所やら仕事関係やらの身近にいて困ってるのはワタシもアナタも同じ。無理の通る小宇宙で暮らしてて人の話が聞けない点で彼らはネトウヨ&パヨクと同類であると、この新書で気づけたことは望外の喜びでした。

新潮社 週刊新潮
2019年5月30日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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