「電波少年」T部長の過激ロケが原因で引っ越し 矢部太郎が明かす「大家さんと僕」が生まれたきっかけ
対談・鼎談
『「大家さんと僕」と僕』
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大ヒット記念爆笑トークショー「土屋さんと僕」土屋敏男×矢部太郎・対談
[文] 新潮社
シリーズ累計125万部を突破したカラテカ・矢部太郎の漫画『大家さんと僕』。その韓国語版がこの度発売された。本書の外国語版はこれが初めてで、今後も台湾版の刊行が予定されている。
矢部といえば、過去に「進ぬ!電波少年」の企画で4ヶ国語(韓国語、スワヒリ語、モンゴル語、コイサンマン語)をマスターしたことでも知られているが、「電波少年」シリーズの名物プロデューサー、T部長こと土屋敏男氏が『大家さんと僕』の生みの親であるという噂がある(矢部本人は全否定)。
『大家さんと僕』の番外編本『「大家さんと僕」と僕』には、そんな土屋プロデューサーとの爆笑対談と、描き下ろしカラー漫画「土屋さんと僕」が収録されている。
韓国語版刊行を記念して、その対談と漫画を公開する。
“軽さ”で選ばれた『電波少年』
土屋 まさか矢部のトークイベントに呼ばれることがあるとはねぇ。だって「来い」ってことでしょ?
矢部 違います、違います! いやっ、ホントにありがとうございます!
土屋 で、来たらね、「矢部先生」って呼ばなきゃいけないって。
矢部 ないです! あの、今回どうしても土屋さんに来て頂きたいと、新潮社の方が……。僕はけっこうギリギリまで反対しましたけど!(会場笑)
土屋 反対してたの、お前!
矢部 いやいやいや、反対してたというか、土屋さんお忙しいんじゃないかな~と思いまして、ご足労頂くのは申し訳ないなって……反対してたんです。
土屋 なんかすごい売れてるんだって? それ聞いて「出版界大丈夫か?」と思ったよ。本の危機はここまできているのかと(笑)。しかも手塚治虫文化賞!
矢部 天国の手塚さんも……。
土屋 怒ってらっしゃるでしょ?
矢部 いやいやいや! 読んで頂きたいですねぇ、手塚先生にも……で、この漫画が描けたのが土屋さんのおかげなんじゃないかっていう噂があって。
土屋 うん。
矢部 僕が前に住んでいた部屋で過激なロケをして、それが原因で今の家に引っ越すことになって大家さんと出会ったんですけど、そのいろんなことがあった番組のプロデューサーが、土屋さんなんですよ。
土屋 うん、そうだね。だから、僕のおかげなんだね?
矢部 「おかげ」なんかじゃないです! 土屋さんの「せい」なんですよ!
土屋 僕のおかげで30万部がある。だから少なくとも15万部くらいは、僕が印税をもらってもいいってことでしょ?
矢部 いやいや、どういう計算なんですか! でも実際、僕も土屋さんには恩を感じてたんで……。20年くらい前に土屋さんが担当されていたバラエティ番組『進ぬ!電波少年』で土屋さんに見出されて、いまの僕があります。
土屋 『電波少年』で芸人の坂本ちゃんの「東大一直線」という企画が終わって、ロケをしていたアパートの部屋が空いたんですよ。で、部屋の更新がちょっと先だったんで、もうひとつくらい企画やろうかなって。ちょうど松本人志の「アメリカ人を笑わしに行こう」という企画が上手く行ったので、じゃあ次はアメリカ人に似たやつ、「アフリカ人を笑わしに行こう」と思いついて。
矢部 そういう思いつき方ですか……。
土屋 芸人が歩いているところをすれ違い様にさらって、抱えて走ってアパートへ入れる、という絵が浮かんだんです。で、お笑いタレントの中で一番軽いヤツを探したら、こいつだった。面白いわけでもなんでもなかったんですよ。軽いだけなんです!
矢部 そうなんですか! 松本さんの企画の後だから、それを継ぐ男かと……。
土屋 だって体重何キロ?
矢部 39キロです。
土屋 日本の芸能界にそんなのいないんですよ。あとは子役ばっかりで!
矢部 プリンセス天功さんも同じくらいですけど!(会場笑)
土屋 それで新宿西口の公園の前から矢部を抱えて「アフリカ人を笑わしに行こう」をやって、それ以降もたくさん企画をやったんですよ。でも売れない。皆さんご存知だと思いますけど、有吉(弘行)っていますでしょ? 有吉は猿岩石ってコンビで香港からロンドンまでヒッチハイクをやりましたけど、半年しか出てないんですよ。それなのにあんなにスターになった。こいつ、6、7年出てるんですよ? それでスターにならないってどういうことだよ。それが今になって30万部って!
矢部 だからホント、土屋さんとは長い付き合いなんですよねー。
土屋 意固地なまま売れずにいたところが、ここで手塚治虫文化賞ですから。いやあ、諦めちゃいけないですよね、才能ってどこにあるかわからない!