『内側から見た「AI大国」中国 : アメリカとの技術覇権争いの最前線』
- 著者
- 福田, 直之, 1980-
- 出版社
- 朝日新聞出版
- ISBN
- 9784022951243
- 価格
- 935円(税込)
書籍情報:openBD
平和の祭典なんかで騒いでる場合?
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
欧米でCOVIDが一段落した後。超好景気が来るって説と超不景気に陥るって説の両方があるけれど、もひとつ知りたいのは、世界が少しは平和になるのか、もっと物騒になるのか。
ワクチン接種を進めたイスラエルが取り戻した日常はパレスチナとの殺し合いでしたという現実を目の当たりにすると世界、というよりニッポンの先行きが危ぶまれて仕方ありません。コロナ騒ぎのなか、東や南のシナ海や香港でオラオラやりたい放題の中国やら、ウクライナやジョージアに圧かけまくりのロシアやらと隣り合わせなんだもの。
で、同じように怖がりなアナタにまずお薦めしたいのは、朝日新聞の中国特派員・福田直之による『内側から見た「AI大国」中国』。ちょっとのんびりしてる題名とは裏腹に、中身は「アメリカとの技術覇権争いの最前線」というサブタイトルそのままで、AI開発熱の向こうにテクノロジーの枠を超えた中国の野心の全体が透けて見えてくる。
一方、ロシアについて読むなら、プロの軍事オタクを自称する研究者・小泉悠の『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)。規模や技術で一見、米国に劣るロシアの軍事力の不気味な強さを実例とデータから分析し、今後についても説得力ある予想を示してくれてます。
こういう好著の続出に続いて今、登場が待たれるのはバイデンの米国、台湾、インド、豪州とかがテーマの新刊。いや、ホントはもっと気楽な新書を読んだり紹介したりしたいんですが。