『ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い』マティルダ・ヴォス・グスタヴソン著、羽根由訳

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ノーベル文学賞が消えた日

『ノーベル文学賞が消えた日』

著者
マティルダ・ヴォス・グスタヴソン [著]/羽根 由 [訳]
出版社
平凡社
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784582824926
発売日
2021/09/17
価格
2,530円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い』マティルダ・ヴォス・グスタヴソン著、羽根由訳

[レビュアー] 産経新聞社

2018年、ノーベル文学賞の発表が中止されるという異例の事態が起きた。きっかけは選考主体のスウェーデン・アカデミーに近い文化人による、複数の女性への性的暴行疑惑。このスクープ記事を書いた現地紙の女性記者が、取材の裏側とその後をつづった。渾身(こんしん)のルポルタージュだ。

尊厳を傷つけられた被害女性の声を聴き続け、弱者が泣き寝入りを強いられるいびつな権力構造をあぶり出す。報道はアカデミーの内紛に発展し、伝統の組織は改革を迫られる。勇気を出して沈黙を破った女性の「世の中には守るべき価値がある」という言葉は切実で重い。(平凡社・2530円)

産経新聞
2021年11月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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