日本の絶景を紹介するサイト「ZEKKEI Japan」編集部に聞いた日本と海外の絶景の違いとは?

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ZEKKEI Japan 世界が知らない日本の絶景366日

『ZEKKEI Japan 世界が知らない日本の絶景366日』

著者
ZEKKEI Japan [著]
出版社
株式会社 世界文化社
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784418222261
発売日
2022/12/21
価格
2,420円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ZEKKEI Japan編集部インタビュー「世界が知らない日本の地方が、旅の目的地になる」

[文] 世界文化社

 一生に一度は訪れたい「日本の絶景」を366か所紹介した写真集『ZEKKEI Japan 世界が知らない日本の絶景366日』。大人気写真サイト「ZEKKEI Japan」が厳選した、眺めているだけで至福の時を感じる四季折々の絶景スポットを紹介する、贈り物にも最適なアート写真集です。写真集発行の舞台裏や、サイト立ち上げの経緯について、「ZEKKEI Japan」編集部・編集統括の水野さんと編集長の梶川さんにお話を伺いました。

──「世界が知らない日本の地方が、旅の目的地になる」がテーマの写真掲載サイト「ZEKKEI Japan」を立ち上げられた経緯について教えて下さい。

水野:「ZEKKEI Japan」は政府が訪日観光客を2020年に3000万人目標に掲げたインバウンド政策を受けて立ち上げたサイトです。コロナ以前になりますが海外の人に日本を知ってもらおうというのが一番のスタートの動機でした。その中で「どういった方法で海外の方に日本を伝えていくか」という選択肢の一つとして、ウェブサイトで日本の景色や建物を交えながら「絶景」という部分を切り取って見せるという形になりました。

──今回「ZEKKEI Japan」を書籍化されましたが、サイトを運営されていて、日本の絶景の特徴や海外の絶景との違いはどのようなものでしょうか?

水野:海外の絶景は山、海。自然が多い様に思います。つまり地形を元にした絶景がどちらかというと多い。たとえばカッパドキアとか地形に特徴のあるものがたくさんあります。一方で日本の場合は景色だけではなく寺社仏閣があったり、「ねぶた祭り」といった大きな祭りの山車が風景に馴染んでいたりします。つまり日本では、建造物を含めて全体を捉えた景色を「絶景」と呼ぶことも多いと感じています。

──そういった日本において絶景を「自然だけでなく、全体像で捉える感覚」というのはどういった価値観に基づいているのでしょうか。

水野:おそらく、日本特有の美意識、価値観である「わびさび」の有無からくるのではないかと思います。もちろん日本人でも捉え方は人によって違います。しかし「日本文化特有の美意識や感覚」であったり、引き算における美的感覚、つつましさ、時の移り変わりによる喪失や欠けを肯定的に捉えること。そこに世界における「絶景」と日本における「絶景」の捉え方の違いが出ているのではないでしょうか。日本では建造物がより自然の風景に溶け込んでいる感じです。

 もちろんこのことは建築物に限らず、例えば「棚田」は、本来は美のためではなく生きて行くために自然に生まれた景色ですよね。現在となっては田圃としては非効率な形態ですが、見て美しいと感じる人がいて、この景観を今でも残したいという日本人の気持ちを端的に表した素敵な風景の一つだと思います。


日本海に沈む夕日が棚田の水面を赤く輝かせる(白米千枚田)

梶川:そのほかにも日本には移ろいがわかりやすい「四季」があることも大きいです。また、私は旅をするとき事前にその土地の歴史の本を読むことが多いのですが、先ほど例に出た棚田にしても、元々は家族間の土地の分配のために平地ではなしえなかった「生きるため」の景色ということを知りました。現在では「美しいもの」として残そうという全国的な取り組みがあることに大変興味深く感じます。

──書籍の見どころや楽しみ方を教えていたければ。

水野:コロナが始まって3年経ちました。2020年は外出できませんでした。

 ちょっとしたおでかけも特別な日々が続いてきました。昔は「行き先」が目的でしたが、今では「出かけること」そのものがリラックスするための目的だったりします。本書は「色」で選べるインデックスをつけました。さらに本書に掲載した写真を、PCやスマホからテーマごとに検索して眺められる特設サイトも開設しました。家でも気軽に楽しめますし、旅行中に気になる絶景ポイントをササっとスマホで探すこともできます。


絶景スポットの魅力を伝える充実のコラム(1)

梶川:そのほかの楽しみ方として、贈り物にも最適なアート写真集になっています。書籍のために厳選した絶景写真を366点収録していますので、一日一枚楽しめます。絶景スポットの魅力を伝えるコラムもこれまでのサイト運営で得た知見を生かした充実した内容になっています。

──運営サイト「ZEKKEI Japan」では一般の方に向けてフォトコンテストを開催されていらっしゃいますが多くの絶景写真を審査委員長として見てこられた水野さんの経験から、撮影する際のポイントについてアドバイスを頂けますでしょうか。

水野:新しい絶景は日常の中から生まれているものがあります。例えば、今や「日本のウユニ塩湖」と言われている香川県の父母ヶ浜は比較的新しい絶景ポイントですが四半世紀に渡る地元有志の「きれいな浜を残したい」という清掃活動の中、SNSの投稿がきっかけで注目されるようになりました。今世紀日本でもそういう日常の中で絶景が生まれる可能性があります。昔は一眼レフじゃないと撮れない、と言っていたのが、スマホで気軽に瞬間を撮れる時代になりました。何げない日常のシーンの中に絶景が潜んでいるという感じがしています。

 それから、撮影の時間帯も重要です。四季以外にも、朝や夕方など時間帯によって景色の見え方が変わるので同じ場所でも新しい発見があると思います。

梶川:注意点としてはここ最近のインスタ映えを狙った撮影ですね。線路に入ってしまうとか、山から落ちちゃうとか事故につながることもあるので撮影者は気をつけないといけないと思います。

 それから各自治体のルールを守りながらになると思いますが、ドローン撮影が最近は普及しています。空からの構図、クオータービューなどこれまでにない景色が間違いなくあるはずなので、まだまだこれからも新たな絶景は誕生していくと思います。


絶景スポットの魅力を伝える充実のコラム(2)

──最後に、読者に向けてメッセージがありましたらお願いします。

水野:コロナ禍を経て、海外からの旅行客が戻りつつある状況ではありますが、まだまだ、コロナ直前のようにはいきません。そんな空いている今だからこそ、日本の方には是非絶景巡りをしてほしいと思います。世界の知らない日本の絶景=日本人も知らない日本の絶景だということが本書を見ていただければわかります。本書で気になった絶景がありましたら、近場でもよいので実際に観光してほしい。たくさんの行ってみたくなる絶景を掲載していますので、本書が旅のきっかけになれば幸いです。

梶川:自分が住んでいる身近な場所でも、知らなかったスポットや景色を見つけられる本になっています。出かけるのも大変な時もありますよね。そんな時に意気込んで読むというよりは、疲れたとき、リラックスしたいときにこの本を眺めてもらえるとうれしいです。

 ***

ZEKKEI Japan
ZEKKEI Japanは月間最大400 万PVを誇る大人気観光サイト。「世界が知らない日本の地方が、旅の目的地になる」テーマに様々な切り口で、日本の景色を紹介している。Facebookは1366098人がフォロー中。

水野真寿(みずの・まさとし)
株式会社アビリブ 取締役副社長。愛知県瀬戸市生まれ。アパレルブランド立ち上げ後、Webデザイナーとして入社。大型ホテル・旅館を中心に地域の観光におけるWEBプロデュースを担当。ホテル旅館WEB研究家。ZEKKEI Japan事務局長。

梶川智子(かじかわ・ともこ)
株式会社プライムコンセプト 執行役員・コンサルタント。長野県松本市生まれ。大学卒業後東京でWEBマーケティング・コンサル会社勤務を経て地元長野県に移住。専門は観光業のコンサルティングやWEBプロモーション。

世界文化社
2023年2月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

世界文化社

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