東京大で長年教えてきた英文学者が、日本にいながらにして高度な英語力を培った近現代の男女8人を紹介する。柔道家の嘉納治五郎や文豪・夏目漱石、博物学者の南方熊楠ら、各界の偉人たちの人生も、英語という側面から見ると別の光彩を放つ。彼らの英語力は「天賦の才」だけでは説明できないと著者は言う。
辛抱強く筆写し、辞書を引き、精読する。意外なほど愚直な英語修業の軌跡を追いつつ、コミュニケーションに偏り、地道な翻訳を軽視する昨今の英語教育を痛烈に批判する。平成12年刊行の前著の続編。(斎藤兆史(よしふみ)著、中公新書・924円)

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2023年3月12日 掲載
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