英単語をもっとラクにおもしろく覚える秘訣は「語源」を知ることだった

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改訂版  竹岡式 ルーツで覚える英単語

『改訂版  竹岡式 ルーツで覚える英単語』

著者
竹岡 広信 [著]
出版社
毎日新聞出版
ジャンル
語学/英米語
ISBN
9784620327754
発売日
2023/04/10
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

英単語をもっとラクにおもしろく覚える秘訣は「語源」を知ることだった

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

改訂版 竹岡式 ルーツで覚える英単語』(竹岡広信 著、毎日新聞出版)のもとになっているのは、毎日新聞の週刊英語学習紙「毎日ウィークリー」での連載。2006年6月から週1回のペースで掲載されたものをベースとして、一部の例文を書き換え掲載しているのだそうです。

著者は、大学在籍中に実家の塾で英語講師になり、卒業後も主宰する竹岡塾のほか、駿台予備学校、洛南高校などで教鞭に立ったという経歴の持ち主。いかにも英語が得意そうなキャリアですが、多くの方々と同じように、学生時代には英単語を覚えることに四苦八苦したようです。

そして、そんな経験のなかから実感したのは、英単語を覚える際には「語源」が重要な意味を持つということだったのだとか。なぜなら、どのような英単語にも、現在の形になるまでの歴史があり、物語があり、ドラマがあるから。

conceptionという単語が、conceptという単語に変化するのに約200年かかっています。

昔覚えにくかったflame「炎」は、flamingo「フラミンゴ」と同じく「赤い」と分かり、「面白い!」と思いました。また、ある書物で、contributeのtributeは「ローマの三頭政治」と関係があるからtri-「3」と関係する、という記述を読み「なるほどねー」と思いました。つまり、語源による学習は「覚えやすい」うえに「面白い」のです。(「はじめに」より)

こうしたおもしろさを伝えたいという思いから連載が始まり、それが本になったということ。つまり楽しく読み進めることができ、「英単語って、本当はおもしろいんだな」と実感することができるわけです。

そんな本書のなかから、一例として「ピッタリ合う adjust(調整する)」に関する解説を抜き出してみましょう。英語を勉強していると、ass-とかacc-というように「a+子音字+子音字」で始まる語が多いことに気づきますが、それらは、すべてad-という接頭辞からきているものなのだそう。

たとえばad-は、もともとは「〜に向かって」という意味であるものの、現在では無視してよいことが多いというのです。語源から単語の意味を考える場合、非常に重要な接頭辞なので、ぜひとも覚えてほしいと著者は記しています。

老人に向かって変化しつつあるもの

A lot of people go through emotional

difficulties during adolescence.(25ページより)

ここでは、最後のadolescenceに焦点が当てられています。ad-は「〜に向かって」で、-ole-はoldと同じで「年をとった」、-scenceは「変化する」の意。したがってadolescenceは、「老人に向かって変化しつつあるもの」〜「青年期」という意味になるのです。なお上記の文の意味は、「思春期に心の葛藤を経験する人は多い」。

ちなみにscenceと同じ語源を持つ語には、increase「増加する・増加(このin-は強調と考えればよい)」、a crescent「三日月(満月に向かって徐々に変化するもの)」、a croissant「クロワッサン(三日月型のロールパン)」、crescendo「クレッシェンド(音楽用語で音がしだいに大きく強くなること)」などがあるそう。(25ページより)

ぴったり合った状態にする

The first thing to do is to adjust the chair

to a more comfortable height.(25ページより)

-justは「ぴったり」なので、adjustは「ピッタリに向かって」ということになります。そこから「〜をぴったり合った状態にする」という意味になるわけです。

たしかにズボンのサイズを調整するためのツールをan adjuster「調整器具」と呼びます。同じように、たとえばadjust the clockなら、「時計の時間を合わせる」ということになるのです。ちなみに上記の英文の意味は、「まず最初に心地よい高さになるように椅子を調整してください」。(25ページより)

目的に対して必要な数量がある

The room is small but adequate

For our family.(26ページより)

adequateに含まれる-equが意味するのは、当然のことながらequal「等しい」。the equatorなら「赤道」ですが、これは「北極点からと南極点からの距離が同じ線」という意味。ですから、a country right on the equatorで「赤道直下の国」(rightは強調の副詞)。なおエクアドル(Ecuador)は、つづりこそ変化しているものの、本来は「赤道にある土地」の意味だといいます。

こうしたことからわかるように、adequateが意味するのは「同じ〜に向かって」。そこから「ある目的に対して必要な数量がある」ということを意味することになったということです。そのため上記の文章の訳は「その部屋は狭いけれどうちの家族には十分だ」となるわけです。(26ページより)

新たな取り組みを模索

The school is seeking to adopt

a new approach to discipline.(26ページより)

旅行で「オプショナルツアー」といえば、自分で選択できる・追加のツアー」を意味します。そこからもわかるように、optは「選択する」の意。adoptの場合にはad-の意味がほとんど消えて「〜を採用する」となるのだそうです。

つまり上記の文章の意味は、「その学校は躾に関する新たな取り組みを模索している」となるのです。

新たな時代の到来

With the advent of the motorcar came a new era.(27ページより)

-ven-が意味するのは「来る」。

たとえばconvention「集会(みんな来ること/con-はtogetherの意味)」や、convenient「都合がよい/みんなが一度に来るから都合がよい」などがあります。

このadventもad-の意味が消え、「来ること→到来」ということになり、普通はthe advent ofの形で使うそう。上記の文章の意味は、「車の到来とともに新たな時代が始まった」となるわけです。(27ページより)

本書では、覚えやすく、意味に無理のないものを「語源」として採用しているそうです。ただし語源はあくまでも「暗記のための手がかり」なので、厳密に説明しているわけではないといいます。いいかえれば「語源」を、単語を楽しく覚えるための手段として用いているわけで、そこにオリジナリティがあるといえるでしょう。

Source: 毎日新聞出版

メディアジーン lifehacker
2023年4月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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