自己中と「自己チュー」は違う!いつも自分を中心に置いて考える大きなメリットとは?

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激動期でも食っていける 自己チューのすゝめ

『激動期でも食っていける 自己チューのすゝめ』

著者
永田雅乙 [著]
出版社
秀和システム
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784798069760
発売日
2023/05/31
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

自己中と「自己チュー」は違う!いつも自分を中心に置いて考える大きなメリットとは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

一般的に「自己チュー」ということばは、「自己中心的な考え方をするやつ」というようなネガティブな使われ方をします。しかし、本当に「自分を中心に置いて考えること」は悪いことなのか?

フードビジネスコンサルタントである『激動期でも食っていける 自己チューのすゝめ』(永田雅乙 著、秀和システム)の著者は、そう疑問を投げかけています。

私は14歳で飲食業界に飛び込み、17歳で独立して30年以上、いろんな方々と一緒にお仕事してきましたが、ここで「人財」に次いで断言できることがあります。

それは「人の役に立てている人は、まず自分自身を満たしている」ということです。

幸せな人間関係を築き、充実した人生を送り、何度失敗しようと事業に邁進でき、多くの人々の役に立てている、いわゆる「成功者」の人たちは、ほぼ例外なく自分自身が満たされています。

そうでなければ、人の役に立つなんてことはできません。(「まえがき」より)

つまり著者がすすめている自己チューとは、さまざまな人が存在する世界において、きちんと自分を世界の中心に置き、いつでも“自分ファースト”でいることであるようです。重要なポイントは、それが自分勝手とはまったく違うということ。

きちんと自分を中心に置いて考えれば、自然と自分を満たすことができます。そうなれば、自己肯定感なんて勝手に上がるのです。(「まえがき」より)

第1章「なぜ、自分を中心に置いて考えないのか?」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみましょう。

「自己チュー」の人こそ人の役に立てる

そもそも、「人の役に立つ」とは具体的にどういうことなのでしょうか? このことについて、著者は次のように述べています。

日本では、利他の精神をとても大切にしているので、自己犠牲や他者を優先するようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、それは正しくありません。

人の役に立つためには、まず自分自身も満たされているべきでしょう。

金銭の有無が多少は比例するかもしれませんが、それを抜きにしても自分が満たされているってことが大事です。(31ページより)

そもそも自分自身が満たされていない人は、心が不安定なので揺らぎがちであるといいます。だとしたら、人の役に立つことは困難かもしれません。一方、自分自身が満たされている人は、人に対しても余裕を持って接することができるはず。つまり、人に対して思いやりが持てるわけです。

いわば役に立てる人間とは、自分が満たされていて、現段階で幸せに暮らせている人だということ。もちろん、互いに支え合って生きていくことにも価値がありますが、自分を捨て置いて、人のために行動するというのは違うと著者は断言するのです。

この本は「自己チュー」を勧めていますが、これは他人をないがしろにして自分勝手に振る舞えということではありません。

私にとっての自己チューとは、地球があって、自分がいて、いろんな人が存在する世界で、ちゃんと自分を世界の真ん中に置いて、いつでも“自分ファースト”でいようということです。(32ページより)

そのためには、自分で自分自身をコントロールする力が必要。そこでまずは、自分自身を満たし、幸せを感じる力を身につけ、あらゆることに感謝できるように鍛錬することが大切なのだという考え方です。

なお、ここでいう鍛錬とは、幸せを感じて笑顔で生きるために、感受性を研ぎ澄ますことだそう。生きていくにあたっては、社会の仕組みや人間関係に無理やり自分を合わせることを求められるかもしれませんが、中心に自分を置き、なによりも自分を最優先にしていくべきだというのです。(30ページより)

どんな生き方をしても必ず共感者はいる

どんなふうに生きたとしても、傍若無人に振る舞って好き勝手に生きている人にさえ、ある程度の共感者はいるもの。だからこそ、ありのままの自分でいいのだと著者はいいます。

逆にいえば、世間の一般的な価値観に無理やり自分を押し込めただけでは、いつまで経っても幸せを得られず、自分を満たせないわけです。

無理のない、本当の自分でいることを恐れない気持ちが大切です。

誰かに嫌われたらどうしよう……なんて思う必要はありません。ありのままの自分で振る舞っていても、共感してくれる人は必ずいるのですから。

そのためには、まず自分を満たす。

すると心に余裕が生まれて、まわりの人とのコミュニケーションも円滑になりますし、その人たちが気の合う共感者であれば尚更です。(35ページより)

気の合った仲間たちが笑っているのを見るから、自然と幸せな気持ちになって自分も笑えて満たされる。そうやって笑顔でつながっていくことで、「世のため人のため」に役立てるようになれるということです。(34ページより)

自分には代わりがいないことを知る

日本人はとかく「足りない部分」に目を向けがちだけれど、自分にしかない長所や特技を理解し、伸ばしていけば、それが人生のさまざまなシーンにおいて多くのプラス要因になると著者は述べています。

ましてや、将来的には多くの労働がAIに取って代わられるといわれる時代。そんな時代には、AIができないことを追求する必要があるわけです。

いわゆる“人間くさい”ことを追求したり、ある意味“灰汁(あく)”のようなクセの強さを大事にしたり、尖っている部分を研ぎ澄ませていくのです。(47ページより)

そこで、自分の長所に目を向けることが大切になってくるということなのでしょう。(45ページより)

「自分を満たせていない」人、すなわち「自分を中心に据えて考えていない」人は、なにか悪いことがあると他人のせいにして考えるため、いつまでも問題が解決できないのだと著者は指摘しています。だからこそ、自分を中心にして考える癖をつけるべきだとも。そうすれば、自分を満たすことができるようになるときうわけです。

Source: 秀和システム

メディアジーン lifehacker
2023年6月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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