『名画のコスチューム』
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『名画のコスチューム』 内村理奈著
[レビュアー] 産経新聞社
近代以前の西洋服飾史をたどるとき、研究者が主に対象としてきたのは王侯貴族のファッションであり、市井の人々の衣服ではない。けれども西洋絵画には実に多様な職業の人物が描き込まれ、それぞれ特徴的な装いをしている。
本書はフランスを中心に、名画に描かれた60の服装を職種ごとに解説。ドガ作「エトワール」の踊り子やミレー作「落穂拾い」の農民をはじめ、騎士や侍女、死刑執行人、羊飼いらのバラエティーに富んだ衣装が並ぶ。襟飾りやネクタイの結び方など拡大図版と全体図をカラーで掲載した。緻密に表現された細部に注目する著者の視点が面白い。(創元社・3520円)