風の強い夜。海辺の小さな町の一軒家で、小さな女の子が勉強していると、突然、電灯が消えた。停電だ。暗闇の中に一人。「こわい!」。そのとき、声がした。「ぼくと ともだちに なると こわくないよ」
よく目をこらすと、真っ暗で大きい、不思議な生き物がいた。一緒に外に出てみて気付いたのは、夜空に見える星々の多さ。潮のにおいに混じった、かすかな料理の香り。風で葉っぱがこすれる音。「まっくらだと、いつもより ちょっと にぎやか でしょう」
暗さを怖がる子が持つ暗闇のイメージを、柔和なイラストで和らげてくれる絵本だ。(岩崎書店・1650円)
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2024年2月11日 掲載
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