『インドの食卓』
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『インドの食卓』笠井亮平著
[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)
知っているようで知らない、遠いようで近い、不思議と魅惑に満ちた国、インド。そんなインドの魅力に迫る本をご紹介。
インドと言えばカレー!
日本人でカレーを食べたことがない人、カレーという言葉を聞いたことがない人はいないだろう。カレーと言えばインド、インドといえばカレー。でもちょっと待って、『インドの食卓』のサブタイトルは「そこに『カレー』はない」だ。
カレーとは大きな意味では「さまざまなスパイスで調理した料理」だが、そこには千差万別多種多様、奥深い食の世界が広がっている。ではカレーという言葉と概念はいつ、どのように生まれたのか。バターチキンとナンを日本で初めて食べるインド人。牛を食べないインドで生まれたマハラジャマック。ラッシーとチャイ。インド中華というハイブリッドな存在。インド・ネパール料理店が日本に多いわけ。ココイチのインド進出。拡散し浸透し複雑に重なりあうインド料理。
読みながらたまらず、南インド料理専門店に駆け込んだ。奥深いインドの歴史と文化を学んで味わう食はいっそう美味(おい)しかった。(ハヤカワ新書、1144円)