『インドの食卓』笠井亮平著

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インドの食卓

『インドの食卓』

著者
笠井 亮平 [著]
出版社
早川書房
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784153400160
発売日
2023/12/19
価格
1,144円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『インドの食卓』笠井亮平著

[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)

 知っているようで知らない、遠いようで近い、不思議と魅惑に満ちた国、インド。そんなインドの魅力に迫る本をご紹介。

 インドと言えばカレー!

 日本人でカレーを食べたことがない人、カレーという言葉を聞いたことがない人はいないだろう。カレーと言えばインド、インドといえばカレー。でもちょっと待って、『インドの食卓』のサブタイトルは「そこに『カレー』はない」だ。

 カレーとは大きな意味では「さまざまなスパイスで調理した料理」だが、そこには千差万別多種多様、奥深い食の世界が広がっている。ではカレーという言葉と概念はいつ、どのように生まれたのか。バターチキンとナンを日本で初めて食べるインド人。牛を食べないインドで生まれたマハラジャマック。ラッシーとチャイ。インド中華というハイブリッドな存在。インド・ネパール料理店が日本に多いわけ。ココイチのインド進出。拡散し浸透し複雑に重なりあうインド料理。

 読みながらたまらず、南インド料理専門店に駆け込んだ。奥深いインドの歴史と文化を学んで味わう食はいっそう美味(おい)しかった。(ハヤカワ新書、1144円)

読売新聞
2024年2月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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