がん治療の「最新で最適」な情報が詰め込まれた「国立がん研究センター」の一冊

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

「がん」はどうやって治すのか 科学に基づく「最良の治療」を知る

『「がん」はどうやって治すのか 科学に基づく「最良の治療」を知る』

著者
国立がん研究センター [編集]
出版社
講談社
ジャンル
自然科学/医学・歯学・薬学
ISBN
9784065340394
発売日
2023/12/14
価格
1,320円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

がん治療の最新最適の情報源

[レビュアー] 佐藤健太郎(サイエンスライター)

 今や、日本人の二人に一人は、がんにかかると言われる。否応なしに、誰もが正面から向き合わなくてはならない疾患だ。

 しかし、がんについては多くの誤解、無理解がはびこっている。たとえば「がんの標準治療」という言葉だ。「標準」と聞くと、まずまず普通レベルの治療法であり、金さえ払えばもっと優れた治療を受けられるのではないかという印象を受ける人が多いだろう。

 だが、標準治療とはそうしたものではない。多くの研究成果と統計をもとに検討を重ね、現時点で最善の治療法と認められたものを指す言葉だ。そして標準治療には、公的医療保険が適用されることになっている。標準治療とは、最も信頼でき、少ない経済的負担で受けられる治療手段のことなのだ。

『「がん」はどうやって治すのか 科学に基づく「最良の治療」を知る』国立がん研究センター編)は、いわゆる標準治療を中心に、がんに関する最新の情報が詰め込まれた一冊。検査法や治療方針の立て方から始まり、手術・放射線療法・抗がん剤といったがんの三大療法、そして最新の免疫療法やがんゲノム医療に至るまでが網羅されている。現時点で、一般向けの書物としては、がん治療の最も頼りになる情報源といっていいだろう。

 この分野には、患者の動揺と不安につけこんで金儲けを企む者が、残念ながらうようよいる。身を守る知識を得るため、本書はまさに最適の一冊だ。

新潮社 週刊新潮
2024年2月29日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク