『ユダヤ人と近代美術』
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『ユダヤ人と近代美術』圀府寺(こうでら)司著
[レビュアー] 産経新聞社
〈あなたはいかなる像も造ってはならない〉と「出エジプト記」にあるように、ユダヤ教は偶像崇拝を禁じてきた。しかし啓蒙(けいもう)主義思想の影響で19世紀以降、ユダヤ人画家、彫刻家は増えてゆく。
単に「幻想的」などと表現されがちなシャガールの絵も、イディッシュ語の世界観で見れば、より具体的な理解につながるという。またロシア(現ラトビア)生まれの抽象画家、マーク・ロスコの絵に祈りのようなものを感じる背景についても、解き明かしてゆく。時に迫害を受けながら、ユダヤ人は美術とどう関わり何を託してきたのかを追ってゆく。(光文社新書・1180円+税)