<東北の本棚>優れた力 和食復権訴え

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<東北の本棚>優れた力 和食復権訴え

[レビュアー] 河北新報

 ややもするとダイエットの標的になりがちな白米だが、白石市の農家に生まれ育ち農学博士となった著者が、日本人と切っても切れない「ごはん」の持つ優れたパワーを栄養面などから解説したのが本書だ。和食の復権を訴える。
 ご飯を中心とした和食は、脂肪分やコレステロールの少ない魚介類や野菜類などをおかずにするため、大腸がんや動脈硬化などを予防できる。ご飯は血糖値が急激に上がらないため、糖尿病予防にも効果的。よくかんで早食いにならないため、ダイエットにも最適と、良いこと尽くしという。
 最近注目の「発芽玄米」は、発芽で酵素が活性化し栄養成分が最高の状態だという。脳細胞の代謝機能を高める「ギャバ」が白米の10倍含まれ、高血圧予防、肥満防止にも効果がある。
 おにぎり効果にも触れ、昆布や梅干しなど栄養価の高い具も一緒に食べられる貴重な食べ物と説明した。
 著者は「欧米化が進む中、健康寿命を支えるご飯中心の食生活を取り戻すため、日本人が良さをもっと知る必要がある」と話す。
 新米の季節、おいしいご飯を食べたくなる1冊だ。
 「お米が自身の原点」と言う著者は1942年生まれ。東京農業大大学院農芸化学専攻博士課程修了。大妻女子大名誉教授。
 キクロス出版03(3945)4148=1296円。

河北新報
2016年11月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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