<東北の本棚>経済危機への対策示す

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<東北の本棚>経済危機への対策示す

[レビュアー] 河北新報

 スタグフレーションとは、スタグネーション(景気低迷)とインフレーション(物価上昇)の合成語で、景気が後退する中で物価が上昇し、制御が難しい状態を指す。そのリスクが先進国の中で最も高いのは日本だ、と経済評論家の著者は警鐘を鳴らす。そんな経済危機を生き抜くための生活防衛策を示している。

 著者は物価上昇の原因について、原油価格の高騰やロシアのウクライナへの侵攻、円安に加え、全世界的な需要拡大、量的緩和策によるカネ余り、米中対立に伴う物流網の混乱などが絡み合っていると指摘する。その上で物価上昇の現実や価格が決まる仕組み、円安の状況、インフレのメカニズムを解説している。

 賃金が上がらず物価だけが上がる厄介な状態は、単純な節約では乗り切れないとして、自家用車の保有や保険、銀行預金、金への投資、住宅ローンなどの再考を促す。

 インフレの長期化が懸念される中、余裕がある人には慎重な投資による資産形成、副業による世帯収入の拡充で自分を守ることを勧めている。

 著者は1969年仙台市生まれ。東北大工学部卒。日経BP社記者などを経て、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務を担当。テレビなどでコメンテーターも務める。(沼)
   ◇
 祥伝社03(3265)2081=968円。

河北新報
2023年1月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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