【話題の本】『近畿地方のある場所について』背筋著

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■実録風の「薦めたくなる怖さ」

不思議なタイトルと、ただならぬ気配も感じさせる表紙写真で、ランキングを席巻しているホラー小説。

語り手のライターが、オカルト雑誌の編集者と近畿地方の「ある場所」に潜む怪異を追う。山に囲まれたその一帯はダムやトンネル、神社などの廃虚があり、長年謎の自殺や行方不明が相次いでいた。それらの記事や読者投稿、ネット情報、取材記録を交えて物語が進む。

「こっちにおいでー かきがあるよー」と山に誘う白い巨体。呪いの動画と両手を上げたままジャンプし続ける女。女の子を捕まえる遊び「まっしろさん」…。淡々とつづられる怪異譚(たん)に恐怖感が高まる。

今年1~4月に小説投稿サイトに1話ずつ載り、SNSで「とても怖い」と話題に。毎回考察が飛び交う盛り上がりに本書編集担当の和田寛正さんが連載途中で書籍化をオファーし、著者のデビュー作となった。

初版は3万部。8月末の発売後、1週間で増刷となり、現在3刷6万5000部。「共有したり、人に薦めたりしたくなる怖さ。自分は何が怖かったか話題にできるポイントが多いのもよかったのでは」と和田さん。袋とじなど書籍化での仕掛けも怖いと評判だ。(KADOKAWA・1430円)

三保谷浩輝

産経新聞
2023年10月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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