【話題の本】『BLANK PAGE』内田也哉子著 喪失に寄り添う対話

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副題に「空っぽを満たす旅」とある。俳優の樹木希林、ロックミュージシャンの内田裕也、と両親を相次ぎ亡くした著者は、喪失感にさいなまれる。心にぽっかりとした空白ができて、いろんな人間に出会いたいと切望するようになる。そうして織りなされた計15人との一対一での対話を収めている。

本音や弱い部分を隠さない率直なトークに引き込まれる。解剖学者として、生と死に向き合ってきた養老孟司は「マイナスの出来事もプラスに変えることはできるはずです。人生も同じことです」と語りかける。美術家の横尾忠則は、やってくる運命に従ってきたという自らの人生を振り返りながら、「目指すところは、どんどん軽くなること。自分も、絵も」と話す。ほかにも小泉今日子やマツコ・デラックスら対話の相手は多士済々。やがて著者は、欠損ととらえていた「空っぽ」「空白」のもつ豊かさに気づく。

昨年12月に初版1万部で刊行され、これまでに7刷計9万部。版元によると、女性読者が圧倒的に多く、年齢層は40~80代と幅広い。やわらかく、美しい文章も好評という。喪失感にやさしく寄り添い、新たな一歩を踏み出すための力をくれるエッセー集だ。(文芸春秋・1760円)

海老沢類

産経新聞
2024年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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