コンピュータが小説を書く日 ――AI作家に「賞」は取れるか

コンピュータが小説を書く日 ――AI作家に「賞」は取れるか

著者
佐藤 理史 [著]
出版社
日本経済新聞出版社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784532176099
発売日
2016/11/18
価格
1,650円(税込)

内容紹介

AI作家誕生か、と騒がれた“事件"の実相を、当事者が克明に綴る。
袋とじブック・イン・ブック――“AI作家"が一次選考を通過した第3回日経「星新一賞」への、人工知能を利用して作成したショートショート2編を一挙収録!

日本の文学賞で唯一、日本経済新聞社主催の「星新一賞」にしかない応募規定が「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」。第3回には遂に一次選考通過作も出たことが明らかにされた。選考過程は明らかにされていないが、2篇を応募した「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」所属メンバーらの報告会が2016年3月にあり、国内外のメディアが速報したのは記憶に新しい。これは単なる珍しい話題に過ぎないのか?

文藝春秋7月号の特集「2020年『日本の姿』」で「人工知能作家が芥川賞を狙う」と題してこの話題が取り上げられた。取材を受けたのは「きまぐれ~」を率いる松原仁・はこだて未来大学教授。松原教授はAIで小説を創作するための3つの要素を「物語生成」「文章生成」「作品評価」とし、今回は「文章生成」機能のみが使用できたことで「まだ人間が八割、AIが二割」と述べた。
本書で著者はこう述べる。「文章生成」がコンピュータにとってはもっともハードルの高い最初の難関だと。たとえば時間・空間・年齢・性別などの情報が明記されている定型文書などは、すでにコンピュータが作れる段階に来ていると言われている。小説がなぜハードルが高いのか、それは時間・空間・年齢・性別などの情報が明かされずに日本語が連関していき、法則性が見えないから。つまり、正解がないからだ。

日本語とAIの関係を通して、人とAIとの新たな関係まで見えてくる。その可能性の萌芽が兆したノンフィクションの好著!

データ取得日:2024/04/26  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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