奇跡の住宅 旧渡辺甚吉邸と室内装飾
内容紹介
価値ある近代住宅建築が姿を消していく中、幸運のくじを引くことになった旧渡辺甚吉邸(昭和9年竣工、東京・白金)。多くの支えとともに2019年保存を目的に解体された同邸宅は、異例の民間企業により移築復元されることになった。これほど多くの人々の心と行動を突き動かした住宅とは? 中規模ながら瀟洒な洋館を手掛けたのは、あめりか屋の技師である当時日本随一の住宅作家であった山本拙郎と施主の同郷の友、遠藤健三、そして実作が少なく幻のデザイナーといわれた今和次郎。日本におけるチューダー様式の最高傑作が完成した。簡素な外観からは想像がつなかないほど濃密で多彩な空間が広がる室内は、英国のアーツ・アンド・クラフツに通じる職人たちの手の跡が濃厚に残る。本書では、竣工時の詳細をとらえる優雅な古写真と現代の写真を交えて旧渡辺甚吉邸をめぐり、その奇跡の所以となる魅力に迫る。今和次郎による照明器具ほか建築金物などチューダー様式を取り入れた唯一無二のデザインにもクローズアップ。また住宅史的観点など有識者からの論考と解体保存にかかわったメンバーのインタビューからさらに甚吉邸を深堀りする。建築保存のあたらしいモデルケースとしても紹介したい一冊。
データ取得日:2024/03/16 書籍情報:openBD