『マグロ大王 木村清 ダメだと思った時が夜明け前』木村清著
[レビュアー] 産経新聞社
24時間営業のすし店「すしざんまい」を展開する喜代村の名物社長が書き下ろしたエッセー。少年期の苦労話から経営の極意まで、豪放そうな人柄よろしく、わかりやすく明快につづっている。
中でも「マグロ大王」の異名を取るほどこだわりを見せるマグロにまつわる話が面白い。原点は子供時代にマグロ2切れを家族4人で分け合ったこと、養殖ならぬ備蓄マグロをいけすで育てていること、ソマリア沖の海賊にマグロ漁をさせジブチ政府から勲章をもらったことなど、へえーっと驚くこぼれ話が満載だ。従業員の育成の仕方など、独特の経営哲学もためになる。(講談社・1400円+税)