中国の「民族主義」と「愛国主義」はどこへ行く

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中国の「民族主義」と「愛国主義」はどこへ行く

[レビュアー] 図書新聞

 伝えられる秋の全人代前の権力闘争。劉暁波の死去。一帯一路の野望。習近平主席は、民族主義と、愛国主義、中華振興が「中国の夢」の実現だという。世界第二の経済力と軍事力を持ったこの大国は、「国民国家」を上から組織することに躍起となっている。共産党独裁がつくる「国民国家」。近代政治学ではありえない語義矛盾が、そのまま通ってしまうところが「中国」なのだろう。本書は、辛亥革命前後から現在まで、一二〇年の歴史を、名前のなかった(明や清は国名でない)領域に、ヨーロッパの帝国と日本に抗して「国家」を作り上げた中国の近代化の歴史を、「ナショナリズム」の発見と組織化の過程として読み解いていく。啓蒙と暴力と懐柔と裏切りの歴史の序章である。(6・25刊、二七二頁・本体八六〇円・中公新書)

図書新聞
2017年8月19日号(3316号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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