『葬送の仕事師たち』
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「死」に携わる者たちをめぐる書
[レビュアー] 図書新聞
生きているあいだに、人はいったいどれだけの身近な者の死を経験するものだろうか。誰もが誰かの死に遭遇しては向き合って見送り、それを心に留めて生きている。そして自分にもまたいつかそんな日が来ることをときたま考える。しかし、いつか世話になるにもかかわらず、「死」に携わっている現場の人間がどのような思いで働き、どのように学び、どのような経緯でその職についているのかは知らないし、そこで実際にどのようなことが行なわれているのかさえほとんどなにも知らずにいる。本書はそんな「死」に携わる者たちに光をあて、様々な仕事師に話をきき、丹念に取材を重ねていく。「葬儀のプロ」を育てる専門学校に通う生徒や先生、葬儀屋を営む者、葬儀屋に勤める者、湯灌師、納官師、エンバーマー、火葬場の職員。真摯に職を全うし、「死」に対峙する者たちの姿が描かれる傑作ルポルタージュ、待望の文庫化。(2・1刊、三二二頁・本体五五〇円・新潮文庫)