二次創作とぼく――『おとぎカンパニー』著者新刊エッセイ 田丸雅智

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おとぎカンパニー

『おとぎカンパニー』

著者
田丸雅智 [著]
出版社
光文社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784334912574
発売日
2018/12/14
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

二次創作とぼく

[レビュアー] 田丸雅智(作家)

 自分の作家としてのルーツは、いったいどこにあるのだろう。そう考えてみたときに、真っ先に浮かぶのが童話である。

 小さい頃、両親の教育方針で家には絵本がたくさんあった。最初は読み聞かせをしてもらい、後には自分で何度も読みこんだ。あるいは、祖母の影響もありそうだ。祖母の家に泊まりに行く日。夜になると、騒ぐぼくたちを寝かせようと、祖母はよく昔話をしてくれた。といっても、ぼくは大人しく話を聞いていたりはしなかった。祖母の話に割り込んで、勝手にめちゃくちゃな話を作って弟や@従妹#いとこ$たちを笑わせて。自分の創作の原体験は、そんなところにあるのだなと思っている。

 ぼくはショートショート(SS)という小説スタイルに特化した作家をしているのだけれど、現代SSとは簡単に言うと「短くて不思議な物語」。もっと言うと、「アイデアがあって、それを活かした印象的な結末のある物語」のことだ。

 この要素、何かに似ていやしないだろうか。そう、まさしく童話だ。童話とSSは、とても近しい位置にあるのである。

 拙著『おとぎカンパニー』では、童話の二次創作に挑戦してみた。選んだのはグリムやアンデルセンなどの海外童話。それをSSという観点で、自分なりに昇華することを試みた。

 ただし、童話とSSは近いがゆえに、苦労したのが正直なところだ。すでに童話としての確固たるアイデアや結末が存在し、おまけに古今東西さまざまな二次創作の事例もある中で、さらにSS独自のアイデアや結末を生みださなければならなかったからだ。その結果がどうなったのか……それはぜひ、あなたの目でたしかめていただければ幸いだ。

 祖母の話の邪魔をして拙(つたな)い空想話を披露する幼い自分に、今のぼくはこう伝えたい。将来、二次創作の本が出るよ、と。幼いぼくはきっと、ありえないとゲラゲラ笑うに違いない。

 空想と現実は、いつだって紙一重なのである。

光文社 小説宝石
2019年1月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

光文社

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