Bigプッチンプリンと水ようかん、機内に持ち込めるのはどっち? 激変する空の旅の新常識

レビュー

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Bigプッチンプリンと水ようかん、機内に持ち込めるのはどっち? 激変する空の旅の新常識

[レビュアー] 足立謙二(ライター)


出発前に座席を移動してはいけない

 21世紀に入ってから、飛行機は随分と身近な乗り物になりました。LCCの拡大や格安航空券の普及などもあり、夏休みに限らず普通の週末にひょいとグアムまでひとっ飛びの家族旅行をやってのけてしまうのも、何ら特別のことではなくなりつつあります。そんな、変革期を迎えている航空事情を取り巻く小ネタ知識をまとめたのが、『ちょっと自慢できる ヒコーキの雑学100』(インプレス刊)という一冊です。

 著者は、航空写真家のチャーリィ古庄さん。自ら航空機操縦資格を持ち、航空会社での勤務歴もあり、これまでに搭乗したエアラインは200社を超え、2014年には「世界で最も多くの航空会社に搭乗した人」としてギネス認定されている、文字通り世界の空を知り尽くしたエキスパートです。

 そんなチャーリィさんが長年体験してきた、飛行機にまつわる豆知識の数々からは、意外に知られていない飛行機の新常識が浮かび上がってきます。

離陸前に席を動いてはいけない理由

 かつてほど特別感が薄れたとはいえ、飛行機が行き交う空の領域は、毎日乗っている鉄道や自動車とは違うルールがあることに変わりはありません。その一つが、「出発前に席を移動してはいけない」というルールです。

 離陸中に席を離れるのが危険なことはわかりますが、機体が動き出す前に席を動くだけでも、キャビンアテンダント(CA)に注意されてしまいます。それは、離陸する際の飛行機のバランスを保つため。飛行機は、国家資格を持つ管理者が綿密な計算を行い、最適なバランスを考慮し、無事離陸できるよう準備する必要があり、乗客の配置もその一部に含まれるとのこと。窓際に空いている席があるからと、むやみに移ってしまうと、このバランスが損なわれないとも限らないというわけです。

テロ対策とBigプッチンプリンのせつない関係


水ようかんは持ち込めるがBigプッチンプリンはダメ

 一方、飛行機が俄然身近になったなかで、厳しさを増しているのがテロ対策の強化です。凶悪化、巧妙化が進む航空犯罪への対処は航空会社にとって死活問題。ただ、運用されているルールの中には、「え?」と思わず声が出てしまうものもあるようです。

 そこでチャーリィさんが取り上げているのは「水ようかんは持ち込めるが、Bigプッチンプリンは機内持ち込みNG」という事例。

 液体物を使った爆発物がテロに用いられる例があることから、日本から飛ぶ国際線の機内に持ち込める液体物は一般的に100ml(100グラム)以下に制限さています。この際、ぷるぷるしたものは液体か固体かという問題が浮上するわけですが、航空各社ではプリンは液体に分類されているとのこと。しかも、グリコの「Bigプッチンプリン」の容量はなんと160グラム!なんと非情な。なお、スーパーで3個入りで売っているノーマルのプッチンプリンは1つ67グラムのようなので、旅の友にはどうしてもプッチンプリンがないと!という人はこちらを選びましょう。なお、水ようかんの方は、「水」とは付きながらあんこを加工した固形物とみなされており、100グラム以上でも持ち込み可となります。

「飛行機は安全な乗り物」の根拠


ヒコーキの事故率はかなり低い

 何かと面倒なルールが目立ちがちな飛行機ですが、日本から1日足らずで海外のほとんどの主要都市まで運んでくれる便利さは、それらを考慮しても余りある魅力というほかありません。「あんな鉄の塊が空を飛ぶなど信じられん!」と言う声も絶えずありますが、チャーリィ古庄さんは、毎日1回飛行機に乗った場合の事故遭遇率は2027年に1度というデータを提示。「まじめな話、ヒコーキ事故に遭遇するよりも空港へ向かうまでの自動車による事故を心配したほうがいいかも」とチャーリィさんは語っています。

 単なる雑学本にとどまらない、実用面でもかなり使える話も満載な一冊。空港のロビーで出発を待ちながら読んでみると、いつもと違うフライトになるかもしれません。

インプレス
2019年8月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

インプレス

  • このエントリーをはてなブックマークに追加