現役の教師が絵本作家としてデビュー 娘との距離を縮めるための習慣を描いた制作秘話

インタビュー

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ネコまんにんとのしゅぎょう

『ネコまんにんとのしゅぎょう』

著者
ちぴこ [イラスト]/ごごやまきいちろう [著]
出版社
みらいパブリッシング
ジャンル
文学/文学総記
ISBN
9784434288166
発売日
2021/04/20
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

家族で作った1冊!『ネコまんにんとのしゅぎょう』ごごやまきいちろうさん&ちぴこさんにインタビュー

[文] みらいパブリッシング


忍者の秘伝の書を思わせる細長い本のかたちは、B5判を変形させた特別仕様

忍者修行中の「ニンにん」が、ネコまんにんの「じゃらし」の教えに従って、13の修行を進めていく物語。

第5回絵本出版賞にて審査員特別賞を受賞し絵本を出版された『ネコまんにんとのしゅぎょう』は、学校の先生として働くご夫婦、ごごやまきいちろうさん&ちぴこさんによる作品です。

ふたりでどのようにして作品づくりをしたのか、読者からの感想、今後やってみたいことなど色々聞いてみました。

あなたも、ネコまんにんと一緒に楽しい修行に励んでみませんか?

――夫婦の合作とお聞きしましたが、どのような経緯でおふたりは絵本をつくろうと思われたのでしょうか?

ごごやまきいちろうさん(以下、ごごやま):
私はもともと学生時代から本が好きで、小説や児童文学などを作成して、応募していました。

数年前にも、妻にイラストを描いてほしいとお願いしたのですが、忙しくて対応してもらえず……。

今回も忙しい様子でしたが、引き受けてもらえて、『ネコまんにんのしゅぎょう』が完成しました。

ちぴこさん(以下、ちぴこ):
私は子どものときから絵を描くのが好きで。絵を通じて、世の中の役に立てるといいな、と思っていました。

しかし、まさか出版できるとは思っていなかったので感謝の気持ちでいっぱいです。

――絵本を出版してみていかがでしたか?

ちぴこ:
私たちは、ふたりとも教師なのですが、出版したことを伝えたら、たくさんの生徒さんたちが買ってくれました。

保護者の方からも「よくできていますね」と感想をいただいたり。

ほかにも、生徒さんのご兄弟も一緒に修行を楽しんでいたり、続編を自分で制作している生徒もいたりしました。

ごごやま:
私は、生徒には伝えていないんです(笑)。校長や先生方など、学校関係者には伝えましたが。

でも、娘たちがすごく喜んでくれて。表紙の裏に塗り絵をするなどして、楽しんでくれました。

――娘さんたちはどのようなところを楽しんでくれましたか?

ごごやま:
『ネコまんにんのしゅぎょう』のなかに出てくる修業は、私が実際に娘たちとやっている内容なのです。

トリリトの修行などは、私がお風呂担当なので、よくやりますね。

同じ内容でも、“修行”と称して行うと娘たちも喜んでくれます。

娘たちと距離を縮めるために、行ってきた修業が絵本になった感じです。


トリリトの修行は、お風呂でしりとりをしなければならない

――ストーリーをごごやまさんから見せてもらったとき、ちぴこさんはどのような感想を抱きましたか?

ちぴこ:
夫と娘たちが日常的にやっていることが、そのままストーリーになった絵本だと思いました。ジャラシが夫で、ニンにんが娘たちですね。

――絵本作成の際、苦労したことなどありますか?

ちぴこ:
応募作を作成しているときは、どのようなイラストにすれば編集の方の記憶に残るだろうかと悩んでしまい、ギリギリまで描けませんでした。

〆切直前に、勢いで描いた絵で応募して。

でも、そのテイストが逆に編集の方々の目に留まったようで、良かったと思いました。

ごごやま:
私も妻の負担を減らすため、背景は自分で描くなどして、妻の描く分量を最小限にするよう努めました。

〆切当日は雨が降っていて、「もう無理かな……」とも思いましたが、妻が本当に頑張ってくれて、なんとかギリギリ郵便局に駆け込むことができました。

そしたら、審査員特別賞を受賞して。

私は過去にも公募などに出していましたが、初めての受賞だったので嬉しかったです。
 


「ラナミキヨルキデ」この言葉をひっくり返すと…?

――なぜ受賞できたと思いますか?

ごごやま:
絵本出版賞だからこそ、入賞できたと思っています。

とくに今回の出版に当たっては、みらいパブリッシングの社長である松崎さんには大変お世話になりました。

担当編集者の方とともに色々アドバイスをしてくださって……。

絵本出版賞だったからこそ、この感性を見つけてもらえたと感じています。

――最後に、今後の目標などありましたら教えてください。

ごごやま:
今回は「お家の巻き」でしたが、「公園の巻き」も出版してみたいですね。

公園でもたくさんの修行を行っているので。

子どもたちの役に立つ、前向きになれるような本を出版していきたいです。

ちぴこ:
出版だけでなく、インスタグラムなどで修行を発信していくのも面白いですよね。

また、私の兄が保育士で色々な活動をしているので、コラボレーションできたら、とも思います。

読み聞かせしたり、新たな修行内容を募集してみたり。

自分たちで色々とアレンジできる内容なので、ぜひ描き込んだり、付け加えたりしていって、自分だけの1冊にしてほしいと思います。


本の最後には忍者のレベルが書いてあります。みんなで「まんにん」を目指そう!

 ***

〈プロフィール〉

作:ごごやまきいちろう
5月14日生まれ。仕事や修行、サウナで汗を流しながら、ポジティブに教育、創作活動に励んでいる。本作品で第5回絵本出版賞 審査員特別賞を受賞。

絵:ちぴこ
1月9日生まれ、左利きのAB型。日本のどこかで先生をしている。幼い頃は漫画家を目指していたが、子供と勉強したり、遊んだりすることに夢中になり、しばらく絵を描くことを封印。しかしネコまんにんとの出会いにより、思いつきで復活。楽しくて楽なことが好きな、道草好きな人間。褒められると、驚異的に伸びる。Instagramでミニ修行紹介中。

取材・文:三村真佑美(ライター)

みらいパブリッシング
2021年12月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

みらいパブリッシング

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