理由は3つあります。効果抜群の「キラーフレーズ」を使うと、なぜ得するのか?

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得する説明 損する説明

『得する説明 損する説明』

著者
伊藤 祐 [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784815617851
発売日
2023/03/02
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

理由は3つあります。効果抜群の「キラーフレーズ」を使うと、なぜ得するのか?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

きちんと説明しているつもりなのに、いいたいことが伝わらないーー。そう悩む方は、決して少なくないはず。

ある意味ではビジネスパーソンにとっての普遍的な悩みであり、『得する説明 損する説明』(伊藤 祐 著、SBクリエイティブ)の著者もかつては同じだったようです。

外資系企業の日本法人社長を務める人物。いまでこそそつなく業務をこなせているものの、もともと人見知りで内向的な性格であり、大学卒業後に入社した外資系コンサルティングファームでは自分の「説明力のなさ」に絶望したのだといいます。しかし、あるとき「説明が上手な人には共通して、いつも口グセのように使っているフレーズがある」ことに気づいたのだとか。

彼らはミーティングの席で「結論から申し上げると」ということばを、また会議では「前回の振り返りですが」「こちらの数字からご覧ください」「そもそも」といったフレーズをよく使っていたというのです。

お客さまへのプレゼンでも「別のいいかたをすると」「理由は3つあります」などのフレーズをよく使っていたそう。

ポイントは、そういったフレーズを使うと説明がとてもわかりやすく、的確に聞こえること。そのため、議論が停滞していた会議の場でも、彼らがそれらのフレーズを使って話し出すと、情報が整理されて議論がスムーズに進み出すということも少なくなかったようです。

そう、説明上手な人たちは特別なことを話しているわけでも、難しいテクニックを駆使しているわけでもなく、「話が伝わりやすく、説得力が増すフレーズ」を要所要所にちりばめ、それにより「説明が上手い」という評価を得ていたのです。(「はじめに」より)

そこで本書で著者は、自身がこれまで数千人の説明上手な人から学び、実践して検証してきた“効果抜群のキラーフレーズ”を厳選。使用例とともに紹介しているのです。それら40種のなかから、2つを抜き出してみましょう。

結論から申し上げると

普段のビジネスにおいて、使う機会がとても多いのが「結論ファースト」。

結論から先に話すべき理由について著者は、「もっとも短時間で、かつ誤解が生まれる可能性を最小限にしたコミュニケーションがとれるから」だと述べています。

▼NG 損する説明

部長もご存知の通り、今回の商談は社長レビューまで通した非常に重要な案件で、他の部署からもいろいろと応援をいただき、万全の態勢で臨みました。

ただ、受注額が大きいからこそ競合他社も本腰を入れて提案作業をしてきており、かなり厳しい戦いであったことは確かです。そんな中でも、一丸となってみんなで頑張り、なんとか受注を獲得しました!(22ページより)

▼OK 得する説明

結論から申し上げると、今回の商談、無事受注できました!

競合も本気で提案してきてはいましたが、私たちも全社を挙げて協力体制をとったことで、今回の結果につながりました。今後の具体的なタスクについても別途まとめて共有いたしますね。(23ページより)

前者がなかなか結論にたどり着かない“まどろっこしい説明”になってしまっているのに対し、後者の「得する説明」は非常に簡潔。「結論から申し上げると」という“結論フレーズ”を使ってまず結論を提示し、そこに至る経緯や今後のことなどをわかりやすくまとめているため、スムーズに伝達できているわけです。(18ページより)

理由は3つあります

「理由×3」は提案の説得力を高めたいとき非常に強力。「理由は3つあります」と補足をすると、「ああ、この人は本気で考えているのね」と思われやすいため、主張がスルッと通るようになるというのです。

先輩と一緒に取引先を訪問する際、タクシーで行くように説得する場面で考えてみましょう。まずは「理由×3」がない場合。

「A先輩、次のお客さんの所に行くとき、タクシーを使いません? いや、特に理由はないんですけど、なんか電車で行くのだるいなって思って……」(31ページより)

これでは説得力がないので、却下されるのは当然。では、「理由×3」がある場合はどうでしょうか?

「A先輩、次のお客さんの所に行くとき、タクシーを使いません? 理由は3つあって、1つ目は事前打ち合わせに時間を使えることです。ちょっと内容が甘いところがある気がするので、相談に乗っていただきたくて。

2つ目は、今ちょっと天気がイマイチで、もし雨が降ると駅から歩く際に濡れてお客さんからの印象が悪くなりそうかなって。

3つ目は、経費精算も私のほうで一括してできるので、電車代を申請する先輩の手間を減らせるかなと。どうでしょう?」(31〜32ページより)

たしかにこれなら、「では、タクシーで行こうか」ということになる可能性は高くなるかもしれません。

その一方、ここで提示されている3つの理由については、精緻に検討してみれば突っ込みどころがあるのも事実。しかし著者によれば、「なにかを主張する際に3つの理由を用意する努力」をした時点で、提案の通りやすさは2.5倍になるのだそうです。

なお、「毎回3つも理由を思いつけるわけがない」と感じたとしても、あえて「理由は3つあって」というべきであるようです。無理やりにでも3つの理由をひねり出すモードになれば、相手は少なからず圧倒され、「わかった、それでいこう」となる確率が高いというのです。

また、この理由×3、「抜け漏れ&ダブりありまくり」でOKです。

抜け漏れとかダブりとか気にしだすと、逆に何も言えなくなります。

たとえば、「このレストランを選んだ理由は3つあります。

①夜景がきれいなこと、②食べログでの点数が高いこと、③高層階で景色がきれいなことです」で全然OK。「①と③、ほぼ一緒じゃないか」と思うかもしれませんが、相手がバキバキコンサルタントでもない限り、そんな野暮な突っ込みはしないはず。(33ページより)

あまり神経質に考えず、「理由は3つあります」でたたみかけること自体に意味があるのでしょう。(30ページより)

まず最初にすべきは、目次をチェックして、気になったもの、使いやすそうなものを見つけてみること。

そして難しいことを考えず、「キラーフレーズの学習⇔日々の仕事での実践」を愚直に繰り返していけば、「得する説明」を体得できるといいます。

周囲からよりよい評価を得るために、活用してみる価値はありそうです。

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2023年3月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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