結果が出る勉強法は「欲望」→「やりがい」に切り替えてインプットすること

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何歳からでも結果が出る 本当の勉強法

『何歳からでも結果が出る 本当の勉強法』

著者
望月 俊孝 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799111208
発売日
2023/03/13
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

結果が出る勉強法は「欲望」→「やりがい」に切り替えてインプットすること

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「勉強したいという思いはあるし、実際に努力してもいる。なのに、なかなか成果につながらない」というような悩みを抱えている方に対し、『何歳からでも結果が出る 本当の勉強法』(望月俊孝 著、すばる舎)の著者は伝えたいことがあるのだそうです。

もし勉強の成果を加速させたいのなら、そして学習するにあたって設定した目的を達成したいのであれば、まず頭のなかから「完璧」という2文字を消し去ってほしいというのです。

なぜなら自身が、「完璧でないといけない」というような思いに縛られ、多くの失敗を経験してきたから。そうした過去があるからこそ、完璧主義ではなく「完成」主義を目指すべきだと主張しているのです。

勉強の多くは、ある時点でその成果を他人から採点されます。その結果によって「入学」「登用」「開業」といった次のステージへのパスポートを手にすることができます。

本書では、そうした学習の実態にきちんと向き合います。(「はじめに」より)

たとえば、「偏差値を上げたい」「点数を上げたい」「とにかく合格したい」というような思いを抱く方に向け、その方法を“ストレートに”伝授しているのだとか。とはいえ当然ながら、受験勉強に追われる学生だけに向けられているわけではありません。資格試験などに臨むビジネスパーソンにも有効な、幅の広い内容となっているわけです。

さらに、人間が持つ知性の可能性を見つめ、人生を豊かにし、楽しく情熱にあふれたものにアップグレードする方法が1冊で身につきます。

数ある「インプット本」の決定版を目指したのが本書です。(「はじめに」より)

著者は、30年間におよぶ「勉強法」研究から、成果に直結する学び方を体系化した「何歳からでも結果が出る本当の勉強法」の提唱者。そうした経験に基づく知見が凝縮された本書のなかから、きょうは「内面の葛藤との向き合い方」などを取り上げた第1章「勉強をはじめるときの『迷い』を断ち切る」に注目してみたいと思います。

× 人は死ぬ間際に「もっと遊べばよかった」と後悔する

◯ 人は死ぬ間際に「もっと勉強すればよかった」と後悔する

「この世を去るときに、いちばん後悔することはなにか?」という問いは、誰もが一度は頭に思い浮かべることでしょう。まったく思い残すことなく死を迎えられる人は少なく、多くの場合は「もっとやっておけばよかった」というような、なんらかの後悔を抱え込んでしまうものだからです。

なかでもとくに多いのは、「もっと遊んで、楽しんでおけばよかった」というような後悔かもしれません。たしかに楽しむことができなかったとすれば、多少なりとも損をしたような気分になる可能性はあります。しかし、遊びまわったり楽しんだりすること“だけ”の人生は、はたして本当の意味で悔いのない人生といえるのでしょうか?

このことに関連し、ここでは1989年にアリゾナ大学のリチャード・キニアによる研究の結果が紹介されています。

「もし、あなたが人生をもう一度やりなおすとしたら、いまと違うことをすると思う分野はなんですか?」という問いを316名の参加者に投げかけたというのです。調査対象者はA:20〜29歳、B:30〜55歳、C:64歳以上と広範。

その結果、「もっとワーク・ライフ・バランスを取ること(9%)」「もっとお金を大事にすること(13%)」「もっと家族のために時間を取ること(15%)」などよりも圧倒的に多かったのが「もっと一生懸命教育を受ける(39%)」という返答だったというのです。

つまり、どの世代も「もっと勉強をしておけばよかった」と後悔することがわかったわけです。

なぜ、こんな現象が起きるのでしょうか?

それは「勉強」は、人生のあらゆる問題のマスター・キーだからです。(28ページより)

仕事の勉強をしっかりしていれば、お金やワーク・ライフ・バランスの問題で悔やむ機会は減ることでしょう。

ライフスタイルの勉強をもっとしていれば、自己管理やキャリアの問題で悔やむことはなくなるかもしれません。

そして人生の勉強をもっとしていれば、パートナーシップや職場の人間関係の問題で悔やむことも減る可能性があります。

そうでなくとも、人生は悩みの連続。だからこそ、迷った時は「学ぶ」ことを選ぶべきだと著者は述べているのです。(26ページより)

× 最初から「崇高な目的」のために勉強をする

◯ 勉強は「欲望」ではじめて、「やりがい」で続ける

勉強ができる人には「欲望」を捨て、ストイックに「使命」や「やりがい」に向けて励んでいるイメージがあるもの。 しかし現実的に大半の人は、いまの環境に対する不平不満や、未来への漠然とした空想だけしか持っていないかもしれません。

でも、スタート時点はそれでよいのだと著者は断言しています。

ものごとにはすべて「開始」と「継続」があるもの。種をまかなければ芽は出ませんが、芽が出ても世話をしなければ果実にはなりません。いわば、バランスが必要なのです。では、まいた種を果実にするためにはどうすればいいのでしょうか?

まず何かを開始するときは「欲望」に忠実になり、自分に対する「報酬」を強く意識しましょう。

報酬は「金銭」以外でも構いません。

時間の余裕や人間関係の心地よさも該当します。むしろそのほうがいいでしょう。(38ページより)

「いまの環境から早く離れたい」「もっとモテたい」「勉強してあいつらを見返したい」など、“本音”の感情を大切にすべきだということ。そうした「報酬」が手に届きそうな実感があると、人は必ず重い腰を上げるものだというのです。

しかし、いざ何かに取り組みはじめたら、他人との勝負や報酬の有無は忘れて、自分が取り組んでいることがどれくらい自分の成長につながるか、どれくらいの人が期待してくれているかという「やりがい」を意識しましょう。(39ページより)

「欲望」でスタートして「やりがい」で続けるという切り替えが、勉強を続けるマインドをつくるということのようです。(35ページより)

全項目を○×形式で示し、科学的エビデンスに基づいた解説を加えた内容。頭からすべてを読む必要はなく、必要な項目から読むことができるため、勉強で成果を上げたい人には、なにかと役立ってくれるはずです。

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年3月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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