『卍どもえ』
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【気になる!】文庫『卍どもえ』辻原登著
[レビュアー] 産経新聞社
東京の青山にオフィスを構える51歳のデザイナー、瓜生(うりゅう)は妻のちづるとセックスレスの関係にあった。ある日、ちづるは知人に紹介された年下の女性ネイリストに誘われ、性愛関係を結ぶ。やがて男たちをよそに、女性同士は深く交わりながら秘密の結束を築き上げていく。バブル景気の狂乱、地下鉄サリン事件…。振る舞いはスマートでも、ときに欲望や本能につき動かされる。そんな大人の男女の群像を、平成の世相とともに描いた長編小説。
意外な縁によって登場人物がつながっていく様子は壮観そのもの。古今東西の映画や音楽、絵画に関するうんちくも味わい深い。(中公文庫・1100円)