自分を変えたいなら、まず変えるべきは「脳内トーク」から。その理由と活用法

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世界一やさしい 自分を変える方法

『世界一やさしい 自分を変える方法』

著者
西剛志 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776212317
発売日
2023/03/14
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

自分を変えたいなら、まず変えるべきは「脳内トーク」から。その理由と活用法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

脳科学者である『世界一やさしい 自分を変える方法』(西 剛志 著、アスコム)の著者は、長年にわたって「うまくいく人たちの脳」の研究をしてきたのだそうです。そして、そこから得た結論のひとつが「うまくいく人ほど自分との会話がうまい」ということなのだとか。

言葉は脳の左半球の言語中枢で生まれ、まず音声として認識されます。それが口から出ると、声としての言葉になります。

「脳の中で生まれる言葉」と「声に出す言葉」、この2つをまとめて、私は「脳内トーク」と呼んでいます。なぜなら、声に出す言葉も、一度脳の中でつくられているからです。(「はじめに」より)

成功している人たちは、この「脳内トーク」を人生の指針として大切にし、うまく活用しているというのです。

つまりは「脳内トーク」を使って、視点を増やし、自分の常識(思い込み)を打ち破り、脳をよい意味で騙して、自分を成功へ導いているということ。だとすれば「脳内トーク」の技術を磨くことは、自分を「なりたい自分」に導くために有効な手段になりうるはずです。

たとえば仕事で大変なときなどには、「疲れた」「大変だ」「しんどい」「もう嫌だ」というような“マイナスのことば”が出てくることもあるかもしれません。しかし、そんなときにも「脳内トーク」が効果をもたらしてくれるようです。具体的には、「でも」という2文字を使えばいいというのです。

「疲れた。でも、がんばった」

「疲れた。でも、充実してた」

「疲れた。でも、よくここまでやった」

(「はじめに」より)

脳は最初のことばと反対のことばを生み出そうとするため、このように「でも」を使うだけでプラスのことばがどんどん出てくるというのです。そのため使い続ければ、前向きな考え方に脳が促されていくということ。

第1章「脳は『使った言葉』に操られる」から、基本的な考え方を確認してみましょう。

「脳内トーク」とはなにか?

① 「外は寒そうだから、今日はコートにしよう」

② 「いただきます」

③ 「ねぇねぇ、明日の集合時間って何時だっけ?」

(32ページより)

著者によれば、これら3つのことばは種類が違うのだそうです。

① 脳内で発した言葉

② 声に出した言葉

③ 他者に話した言葉

(32ページより)

たしかにそのとおりですが、①の「脳内で発した言葉」こそが基本的な「脳内トーク」。

「声に出した言葉(自分に語りかける言葉も含む)」はプライベートスピーチといい、ひとりごとのようなものも含まれるようです(なお本書では声に出す言葉も含めて「脳内トーク」としていますが、どちらも効果は変わらないそうです)。(32ページより)

困難に遭遇したときは「脳内トーク」で乗り越える

ところで、私たちは困難に遭遇すればするほど「脳内トーク」が増えるのだと著者はいいます。

たとえば、スポーツの世界では、選手は試合中にこんな「脳内トーク」をします。

「左に気をつけろ! あ、右だ、右!」

「そこはダメだ! 相手の裏を読んで回り込んでいくんだ!」

「集中しろ! ここは相手の手の動きを見るんだ!」

これは一例ですが、脳内で自分に対してこのようなトークをするのは、集中力を高めるためです。脳は言葉に従い、瞬時にそこに注意を向けることができるからです。(34〜35ページより)

「左に気をつけろ!」といわれれば左にフォーカスでき、「相手の裏」といわれると相手の裏に意識が集中する。つまり脳は困難を乗り越えるために、「脳内トーク」を利用して集中力を高めているということのようです。(34ページより)

ひとりごとは、セルフコントロール力を高める

パズルを解くときに、ひとりごとをいいながら手を動かしている子がいますが、それはパズルを速く解くためのテクニックのひとつなのだそう。

つまり、そのようにひとりごとをいう子は、自分の気持ちをひとりごとでコントロールしているということ。そのため冷静にパズルができて、その結果として解くスピードが速くなるというわけです。

これが「脳内トーク」のもう1つの効果です。集中力を高めるだけでなく、セルフコントロール力も高めることができるのです。

ひとり言も「脳内トーク」の1つです。ひとり言を言っている人は、少し奇妙に思えるかもしれませんが、実は集中力とセルフコントロール力が高い人である可能性があるのです。(37ページより)

加えて、「脳内トーク」によって短期記憶力(ワーキングメモリ)を高めることもできるそうです。

たとえば電話番号を覚えるとき、番号を声に出したり、心のなかで何度も繰り返す人も少なくないはず。それは脳の働きに合った行為で、短期記憶に残りやすい効果があるというのです。

さらに「脳内トーク」には、「身体能力の向上」「学習意欲が高まる」「不安や心配などのストレスが減る」「思考力に影響する」などのメリットもあるようです。(36ページより)

どんな分野においても、成果を出している人ほどシンプルな「脳内トーク」を使っているのだと著者は述べています。しかもその効果は、声に出しても、心のなかでいうだけでも変わらないのだそう。難しいことではないだけに、本書を参考にしながら試してみる価値はありそうです。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2023年4月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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