いつも「要領がいい人」の特徴は?要領のよさを構成する5つの要素

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「仕事が終わらない人生」が180度変わる 努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ

『「仕事が終わらない人生」が180度変わる 努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』

著者
菅原洋平 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776212683
発売日
2023/04/05
価格
1,595円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

いつも「要領がいい人」の特徴は?要領のよさを構成する5つの要素

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

日常生活において、「自分はなんて要領が悪いんだろう」と感じる場面は少なくありません。しかし、そもそも「要領よくやる」ということばは意味が広すぎるものでもあります。そのため結局は、「実際の行動を変えられないまま」になってしまうわけです。

そこで『努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』(菅原洋平 著、アスコム)の著者は、まず「要領のよさ」を次のように定義づけています。

「要領の悪さ」とは、目的を見失ってしまうこと。

「要領のよさ」とは、しっかりとゴール設定することで、脳が整理され、ゴールに向かって(自然と)最短距離を歩んでいけること。(「はじめに」より)

そして「要領のよさ」は、次の5つで構成されているのだとか。

① 「余計な情報」に惑わされない

② 「脳のムダづかい」を減らす

③ 「すぐやる人」になる

④ 「同じ失敗」を繰り返さない

⑤ 「思い込み」を捨てる

(「はじめに」より)

つまり「要領をよくする」ために大切なのは、ムダを省いたり、余計な情報をカットすること。そのため誰でもすぐに実践でき、再現性もあるというのです。

きょうは第1章「ちょっと待った! その『要領がいい』、実は間違いです!」に焦点を当て、「要領がいい人」の特徴を確認してみることにしましょう。

マルチタスクか、シングルタスクか

×マルチタスクでどんどん仕事をこなす

○マルチタスクの場面でも「シングルタスク」で対応

(28ページより)

要領がいい人には、「複数の仕事を同時進行でこなせる“マルチタスカー”である」というイメージがあるかもしれませんが、著者によればそれは大きな勘違い。

要領がいい人ほどマルチタスクをしていないことが、脳科学の実験で明らかになっているというのです。

シカゴ大学のエドワード・ヴォーゲル教授らによる実験では、複数の色の棒が表示された画像を見て、「青色の棒だけを数える」という課題を行いました。

この課題では、複数の色の棒が同時に表示されたとしても、「青色の棒を探す」という目的を覚えておく力「ワーキングメモリ」が求められます。

結果、実験中の脳波の動きを見ると、正答率が高い人は、ほかの色に目を奪われず、「青色の棒だけを集中して数えられる」ことがわかりました。(28〜29ページより)

ここから、要領がいい人(=ワーキングメモリ能力の高い人)は「並行してたくさんのこと(マルチタスク)をするのが得意」なのではなく、「優先順位をつけ、1つずつ集中して処理する能力に長けている」ということがわかったわけです。

そもそも脳は、基本的にシングルタスクしかこなせないのだとか。なぜなら脳の本質は「情報選択」だから。つまり、一度にひとつのことしか考えられないようにできているのです。

時間を有効に使うために複数のタスクを同時に行おうとすると、ひとつの作業の処理スピードが遅くなり、脳の疲労も大きくなってしまうようです。その結果、どちらの作業にも集中できず、パフォーマンスが低くなってしまうということ。

そこで著者は、忙しいときこそ、あえて脳にひとつずつ課題を与え、処理スピードを高めてみるべきだと主張しています。たとえば、オンラインセミナーの音声を聴きながら皿洗いをするようなことは、じつは非効率的。皿洗いがだらだら続いてしまい、オンラインセミナーの内容も頭に入らないということになりがちだからです。

むしろ効率的なのは、皿洗いを先にすませたあと、オンラインセミナーに集中すること。(28ページより)

臨機応変に対応するべき?

×臨機応変に対応する

○記憶の関連づけがうまい

(35ページより)

「あの人はいつでも臨機応変に行動していてすごい」と感じさせる人がいますが、そうした能力は「覚えたことを関連づける力」に深く関係しているのだそうです。

体験した記憶を、うまく「ほかの記憶」に関連づけて保存しておくことで、次に似たような場面に遭遇したときに、その記憶を生かして上手にふるまっているのです。(35ページより)

なお、この「記憶の関連づけ」は意図してトレーニングすることができるそう。方法はいくつかあるようですが、たとえばそのひとつが、「なにかうまくいったことがあったら、『○○のときみたい』と振り返ること」

たとえば、次のように。

先に簡単な資料を送っておいたことで打ち合わせがスムーズになったら、「映画の予告編を観ておいてもらったおかげで、映画を観るまでの話題ができ、デートでの会話が弾んだときみたい」と振り返る(36ページより)

プレゼンで用意していなかった内容を求められたとき、別件で作成していた資料の内容をうまく織り交ぜて話せたら、「キャンプでありあわせの物でおいしい食事をつくれたときみたい」と振り返る(36ページより)

自分なりにうまくできたこと、土壇場でできたこと、他人から「よかった」と指摘されたこと…。そうした記憶を関連づけることで、勝手に「将来の臨機応変な行動の準備」をしてくれる機能が脳には備わっているということです。(35ページより)

著者が研修やセミナーで話している「要領のいい人」になるためのコツ40種を明かした、とても実践的な一冊。「これなら実践しやすそう」と感じたものから試してみればいいというので、気軽に活用できるはずです。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2023年4月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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