悪筆や左利きでも、手書き文字の悩みを解決!ちょっとの工夫で「美文字」に近づけるコツ

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

みるみるうまくなる9マス美文字練習帳

『みるみるうまくなる9マス美文字練習帳』

著者
根岸和美 [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784866674278
発売日
2023/05/23
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

悪筆や左利きでも、手書き文字の悩みを解決!ちょっとの工夫で「美文字」に近づけるコツ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

みるみるうまくなる 9マス美文字練習帳』(根岸和美 著、あさ出版)の著者は40年以上、美文字家・書道家として活動してきたという人物。その過程においては、以下のような「文字に関する悩み」を数多く聞いてきたのだそうです。

・人前で名前を書くのが恥ずかしい。キレイに書きたいとは思うけど、どうしたらよいかわからない。

・字が汚いから、何度も書き直し、人一倍書くのに時間がかかる。消せるペンが手放せない。

・気づいたらクセ字になっていて直らない。

・どこかに習いに行くのは時間も手間もかかるし、ハードルが高いからあきらめている。(「はじめに」より)

「自分のことだ」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ともあれ「手書き文字」に苦手意識があるために、せっかくのコミュニケーションの機会を逃しているのだとしたらもったいないこと。そればかりか、イメージどおりのキレイな文字が書けないことがストレスにつながってしまうなら、なおさらつらくもあるでしょう。

そこで著者は、そうした悩みを克服するための手段として「9マス美文字メソッド」を提唱しているのです。

「9マス美文字メソッド」は、その名の通り、9マスを使って文字を書くことで、美文字が書けるようになるというものです。

おそらくほとんどの方が、授業などで「+」の補助線が入っている4分割にされたマスを使って、文字の練習をされたことでしょう。

「4マス」ではなく「9マス」を使う理由は、文字の形と組み立てをより具体的に把握し、再現しやすくなるからです。(「はじめに」より)

そのメソッド自体は実際に体験していただくべきだと思うので、ここでは併載された「コラム」をご紹介したいと思います。

左利きの方にオススメの美文字のコツ

ご存知のように、私たちがふだん使っている文字の原型は古代中国で生まれたもの。それが長い年月の間に発達を重ねてきたわけです。

なお、そうして一般的に使われるようになった「漢字」は、構造的に「右利き」の人が書きやすい形、書き順となったそうです。あとから生まれた「かな」も同様。そのため、「左利き」の人が書きにくいのは当然なのです。

実は、我が師・中島司有先生は生来の左利きでした。しかしながら、鍛錬を重ねることで後に天皇陛下の祐筆(ゆうひつ)をお務めになるほどの書道家となられました。

また、多くの門下生が九宮格学習によって左利きゆえの書きづらさを克服し、上達されています。(32ページより)

つまり練習次第で、左利きの悩みは解消できるということ。ちなみに左利きの方が美文字を練習するにあたっては、ちょっとしたコツがあるようです。

出典:『みるみるうまくなる 9マス美文字練習帳』より

これらは、著者が実際に書道教室などで指導するなかで効果的だったメソッドだそうです。(32ページより)

ひらがな・カタカナはいちばん身近な文化遺産

ひらがなとカタカナは、平安時代の初期につくられたとされています。しかし、そもそも中国から漢字が伝えられる前の日本には文字が存在しませんでした。

神々の歴史や村の長老からの教えなども、すべて「口伝え」だったわけです。そんな古代の日本(1世紀ごろとされています)に大陸から「漢字」が伝わってきたのですから、そのときの驚きがいかに大きなものであったかは想像に難くありません。

そして奈良時代になると、漢字は「ことばを可視化して伝達するための道具」として大きな役割を果たすことになります。当時の貴族は大陸の文化を模倣することと並行して、「漢字」を学ぶことに夢中になったのだとか。

さらに、それ以前は「口伝え」で使ってきた「音」を文字であらわすために「音読み」だけを活用してつくり出したのが、のちに「万葉仮名」と呼ばれるようになる文字。

この万葉仮名をもとに、漢字の草書体をさらに簡略化して「ひらがな」がつくられたわけです。カタカナに至っては、「漢字の一部でつくってしまおう」という斬新で柔軟な発想から誕生したようです。

これがおよそ1200年前のことで、そのころにできた文字が現在も使われているということ。いいかえれば私たちは無意識のうちに、先祖が創り上げた文化を活用しているのです。

ところで外国の方が日本語を学ぶ際に感じられる「難しさ」のひとつに、漢字・ひらがな・カタカナと3種の文字を混ぜて使うことが挙げられます。慣れていない人にとってはたしかに難しいでしょうが、それら3種を駆使するからこそ、私たちの文字文化は複雑で豊かなものになっているとも考えることができるはず。

したがって、「文化遺産を日常使いする」価値を見出しながら、あらためて、ひらがな・カタカナの字形を見なおしてみれば、大人の学びとしての奥行きが生まれるのではないか。著者はそう記しています。(46ページより)

数字の書き方 ポイントは「調和」

0から10までの数の組み合わせでつくられる「数字」は、日常生活でもビジネスでも非常に重要。もちろん数字単体で書くこともあるでしょうが、ひらがなやカタカナ、漢字などと一緒に書く機会も少なくありません。

なお数字は、「他の文字との調和」を考え、以下のように傾斜の角度をつけて書くことでキレイになるそう。

出典:『みるみるうまくなる 9マス美文字練習帳』より

日本語は、世界でも類をみない、数種類の文字を組み合わせて書き記す言語です。そして、数字と文字をキレイに見せるカギは「調和」。この点は、記憶にとどめておくとよいのではないでしょうか?(82ページより)

人生の大半を「字書き」として生きてきた著者は、「次は人の想いを伝える道具」だと考えているのだそうです。その道具を理想に近い形で実現できるようになりたいのなら、本書を活用してみるべきかもしれません。

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2023年7月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク