『日本の闇と怪物たち 黒幕、政商、フィクサー』
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最強タッグが語る黒幕・政商の現代史
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
『日本の闇と怪物たち 黒幕、政商、フィクサー』の発売予告に最初に出くわしたのは去年の春。その時点ですでに4月予定の刊行が7月に延期という案内だったのが、さらに先送りが続き、でも、ついに出ました。
この新書にワタシが粘着してきた理由、それは言論萎縮の今、いかにも世に出にくそうなテーマだからというのがひとつ。もうひとつは、そんなテーマを今、きっちり世に出してくる書き手・語り手である佐高信と森功の共著・対談だから。この1年越しの期待が裏切られなかったことは、登場する「怪物たち」の顔ぶれだけでよくわかるかと。
許永中磯田一郎宅見勝田中森一児玉誉士夫四元義隆田中清玄田岡一雄笹川良一後藤忠政福本邦雄森下安道柳川次郎小西邦彦堤清二有田一壽竹井博友稲盛和夫佐藤茂西川善文葛西敬之瀬島龍三杉田和博古森重隆前田晃伸島桂次竹中平蔵宮内義彦荒井三ノ進太刀川恒夫渡邉恒雄伊藤淳二ヘンリー・キッシンジャー佐藤正忠小佐野賢治南部靖之――。
これに雑魚や小物までが絡み合い、そこに岸中曽根安倍CIANHK東芝日立その他いろいろの政治家や役人、組織や企業がどう関わって敗戦後昭和・平成・令和のニッポンの何がどう変わってきたかがよくわかるゆえこの本、曼荼羅化された地獄絵図のよう。
取材や体験に裏打ちされた陰謀論臭ゼロの正調裏面史。そういう電波に乗らない裏側を、ネットよりはるかに信頼できる枠組みで知れる活字のありがたさよ!