『マンガで学ぶ 社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』
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ディズニーランドで働いてわかった、リーダーが守るべき2つの大切なこと
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『マンガで学ぶ 社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』(香取貴信 著、 星井博文シナリオ、鳥栖茉莉花 作画、あさ出版)は、2002年に発売された同名書籍のまんが版。いうまでもなく、ベースになっているのは著者自身の体験です。
著者が東京ディズニーランドでアルバイトとして働きはじめたのは16歳のときで、それはオープンから3年が経過したタイミング。とくにディズニーが好きなわけでもなく、「家が近い」「時給がよさそう」「当時の彼女がディズニー好きだった」というだけの理由で選んだのだといいますが、とはいえ結果的には8年間も働き続けたのだとか。
この時までアルバイトをしたことがなかったため、働くことがどういうことかもわからないままディズニーランドに入ったのですが、そこは私にとって、魔法の国ならぬ、人として大切なことを教えてくれる魔法の学校でした。
その体験を綴ったのが、本書の原作『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』です。私の最初の著書でした。(「はじめに」より)
同書がきっかけとなった全国で講演やセミナー、企業研修講師などをするようになり、そんななかでよく「ディズニーってやっぱりすごいですね」といった声をよく聞いたようです。ただし、その表現はちょっと違うとも感じているそう。
ディズニーの生みの親であるウォルト・ディズニーの教えを、情熱を持って実践し、一般従業員(アルバイト含む)にも伝達伝承してくれるリーダーがスゴイだけなのです。
と言っても、リーダーになるのが特別有能な人というわけでもありません。でき損ないだったアルバイトの私でさえもやらせてもらっていたぐらいです。
だからこそ言えるのは、どの会社でもどの組織でも、同じようにできるってことです。
情熱を持った、たったひとりのリーダーがいれば、組織、チームは変われるのです。(「はじめに」より)
マンガの部分は実際に見ていただくとして、きょうはそんな本書のChapter2「チームをまとめるリーダーの在り方」内の記述部分に焦点を当ててみたいと思います。
相手によって態度を変えない
リーダーであるうえで大切なことのひとつとして、著者は「相手によって態度を変えない」ことの重要性を説いています。いうまでもなくそれは、人としてのあり方、人間性に関わる大切な要素でもあるでしょう。
ただし、相手によって態度を変えないことは、現実的に難しいことでもあります。では、リーダーとしてはどうあるべきなのでしょうか?
私は以前、師匠から教わり、今でも大切にしている言葉があります。
「リーダーである前に人であれ」
人として信用のおける人でなければ、リーダーとしてもチームをまとめることはできません。
リーダーシップとは何を言うかではなく、誰が言うかです。そのリーダーの在り方が問われるというわけです。(90ページより)
究極のリーダーシップとは“なにもいわないこと”だといいます。つまり、リーダーのことを思い出すだけで、スタッフひとりひとりがやる気になって自発的に行動してしまう。それこそがリーダーとチームの理想的なあり方だということ。
なお、上記の「リーダーである前に人であれ」ということばを踏まえたうえで、著者が考えた「リーダーとして、人として大切なこと」は次の4つだそうです。
・人によって態度を変えない
・いつも正直で嘘をつかない
・約束したことは守る
・他人の悪口を言わない
(90ページより)
これらを意識して行動することで、その姿を目にした部下や後輩、まわりの人たちから信頼してもらえるようになるということ。とくに、「人によって態度を変えない」という姿勢は信用・信頼につながっていくものであるわけです。
自分が思っている以上に、まわりの人たちはこちらを見ているもの。いいかえれば、普段の行動、相手に対する態度、その他の些細なことまで観察しているのです。
だからこそリーダーは、一挙手一投足を見られていると意識しながら行動する必要があるということ。(88ページより)
一度した約束は守る
約束を守ることも人として大切ですが、ついつい理由をつけて変更したり、守れなかったりすることもあるのではないでしょうか? もちろん人間ですから、なかなかうまくいかないことだってあるでしょう。
しかしそれでも、信用・信頼されるリーダーであるために、一度した約束は守り、真摯に向き合うべき。
そして、もうひとつ忘れるべきでないのは、悪いことをしたら謝ること。それは、地位やポジションが上がるにつれてできなくなることでもあるかもしれません。しかし言い訳は一切せず、自分に非があったならそれを正直に伝え、謝る。そういった潔さが、人間関係のリカバリーには欠かせないのです。
また、一度した約束は守ることを徹底するためには、約束をするときに気をつけておかなければならないことがあります。それは、「守れない約束はしない」ことです。
何かを頼まれるとつい、いい人でいたいがために、なんでもかんでも引き受けていませんか?
いい人を演じるのをやめましょう。
勇気を出して守れない約束はしない。これを、徹底するのです。約束をきちんと選択することで、必ず守ることができるようになります。(93ページより)
信頼してもらえるリーダーであるためには、そういった“正しい取捨選択”をすることも重要だということです。(91ページより)
ここで伝えたかったのは、“人はいつからでも変わることができる”ということなのだそうです。著者の東京ディズニーランドでの体験を軸にしたマンガを参考にしながら、社会人として大切なことを改めて学んでみてはいかがでしょうか?
Source: あさ出版