「人見知り」はデメリットばかりじゃないが。人見知りをなおした人が意識していること

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

12歳から始める人見知りしない技術

『12歳から始める人見知りしない技術』

著者
鳥谷朝代 [著]
出版社
秀和システム
ISBN
9784798070315
発売日
2023/08/31
価格
1,760円(税込)

「人見知り」はデメリットばかりじゃないが。人見知りをなおした人が意識していること

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

12歳から始める人見知りしない技術』(鳥谷朝代 著、秀和システム)の著者は、緊張や人見知りで悩んでいる人に向けて、話し方教室を運営している人物。教室では小学3年生から80代のお年寄りまで、幅広い年齢層の方々が学んでいるのだといいます。

そう聞くと、いかにも話すことが得意そうにも思えますが、実は著者自身も子どものころから人見知りだったのだとか。つまり本書は、そうした自身の経験と、話し方教室で得たノウハウに基づいて書かれているのです。

本書は、小学生のお子さんでも読める、人見知り克服のための本です。

『12歳から始める〜』としているのは、私自身が自身の人見知りやあがり症を自覚したのが、中学1年生、まさに12歳だからです。(「はじめに」より)

実際のところ、人見知りを強く意識するのはおおむね中学〜高校生の時期なのだそうです。つまり思春期であり、まさに自我が芽生えるころ。ちなみに著者も本書の執筆時、13歳の子どもの母親だったといいます。

そういう意味では、「授業でまったく挙手できない」「発言できない」「高校受験の面接が心配で仕方がない」というような悩みを抱えた子どもたちの気持ちがよく理解できる立場にいるわけです。

きょうはそのなかから、さまざまな立場の方々に役立ちそうな第4章「人見知りをなおした人が意識していること」に焦点を当ててみたいと思います。

自己紹介は短くして、印象深いワンフレーズを加える

学生時代の著者は、自己紹介の時間をとても恐ろしく感じていたのだそうです。自分のことを話すのも、人前で声を出すのも苦手で、そもそも「なにを話したらいいのか」がよくわからず困っていたというのです。

そのため、笑いも入れながら上手に話す人や、緊張せずに堂々と話す人を見るとますます落ち込み、苦手意識がどんどん強くなっていったのだといいます。同じような経験をしたことのある方も、意外と多いのではないでしょうか?

しかし、話し方の勉強をしていくなかで気づいたことがあったようです。それは、「自己紹介は短いほうがいい」ということ。そもそも時間は均等ではなく、興味がないと長く感じ、好きなことや興味のあることは短く感じるもの。そこが重要だというのです。

なので、だれもが興味のある内容じゃないときは、短くするのがマナーです。

どれくらい短いのがよいかというと、自己紹介は30秒〜1分ぐらいが、一般的にはよいと言われています。

文字数でいうと、300字ぐらい。

原稿用紙が400字だから、1枚弱のイメージです。(171ページより)

あくまで目安ではあるものの、まずはそれくらいの文字数で、自分の自己紹介の基本形をつくってみるといいかもしれません。(170ページより)

電話が苦手…どうすればいい?

連絡したいとき、固定電話や公衆電話を使うしかなかった昔とは違い、現代ではスマホ利用が一般的。またLINEやSNSなど、コミュニケーションツールもさまざま。そのため、スマホを使って通話することはあっても、固定電話を使ったことがないという方は今後増えていくのではないでしょうか? ましてやビジネスパーソンになれば、電話を使う機会は避けられないものにもなるはず。

「メールやラインでは時間がかかるから、すぐに確認したい」とか「文章よりも話したほうが、スムーズにコミュニケーションを取ることができる」など、その場に応じたツールを選ぶことが、仕事では求められるからです。

さまざまな世代の人と交流するときは、最新のツールだけでなく、昔からある連絡手段のことを知っておく必要がありますね。(175ページより)

もちろん電話に苦手意識を持っている方はいるものですが、その理由を著者は「かかってくる相手が誰だかわからないから」だと指摘しています。

個人のスマホであれば番号通知でわかりますが、家の固定電話にかかってくる場合は、誰から誰への連絡であるかがわからない場合もあるからです。また、相手の顔が見えないということもまた、電話への苦手意識を高めてしまうかもしれません。

電話は、言葉だけのやり取りなので、反応がなかったり、シーンとした時間があると、こわいと感じるかもしれませんが、基本的には「要件が伝わればOK」です。(177ページより)

そういう意味ではLINEと同じですし、電話の場合、声色(声の調子や感じ)はLINEよりもダイレクトに伝わるという利点も。あまり緊張せず、連絡手段のひとつとして気軽に活用すればいいわけです。(174ページより)

そもそも「人見知り」は悪いことではない

人見知りは特定の人だけの問題ではなく、多くの人が経験すること。また、必ずしもデメリットばかりではなく、いいところもあると著者はいいます。

注意深い:人見知りの人は、周囲の状況に敏感。ほかの人のちょっとした仕草にも気を配ることができ、いろんな人の感情や意図をより深く理解できるそう。観察力がある:よく観察するため、新しい環境や初めて会う人たちの特徴をつかむことが得意。この能力は、人間関係の問題を解決することに役立つはず。聞き上手である:ほかの人の話に集中し、よく聞くことが得意。途中で自分の意見や考えを押しつけず、相手の意見や感情に共感できるため、相手は心を開きやすくなるわけです。慎重である:慎重さがあるということは、失敗を避け、よりよい結果を導くために必要な能力を持っているということでもあります。忍耐強い:自己成長に向けて取り組む必要のある忍耐力を持っているということ。

このように、人見知りな性格は、決して悪いことではないのです。著者も、そのことを知っておいてほしいと記しています。(194ページより)

先にも触れたとおり、本書は12歳の子どもでも人見知りを克服できるようにとの思いから書かれたもの。しかし紹介されているノウハウは、子どもと親が同じように活用できるものでもあります。そういう意味では、(著者の話し方教室がそうであるように)年齢を問わず活用できる一冊。子どものためにも親自身のためにも、大きく役立ってくれそうです。

Source: 秀和システム

メディアジーン lifehacker
2023年9月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク