この人と仕事がしたい!と思わせる「神雑談力」の身につけ方〜こんな自己紹介はすぐに止めて

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おもしろい人が無意識にしている 神雑談力

『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』

著者
中北 朋宏 [著]
出版社
東洋経済新報社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784492047439
発売日
2023/09/20
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

この人と仕事がしたい!と思わせる「神雑談力」の身につけ方〜こんな自己紹介はすぐに止めて

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ビジネスパーソンにとって、雑談は重要なポイント。しかし「普通の雑談」は、「当たり障りのないおしゃべり」にすぎないと主張するのは、『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』(中北朋宏 著、東洋経済新報社)の著者。お客様に「この人と仕事がしたいと思わせる力」、すなわち「神雑談力」こそが重要だというのです。

「神雑談力」とは、関係構築の3つのフェーズをすべて獲得することによって得られる効果なのだそう。つまり、目の前の相手との関係を築き、さらに深める力だということです。なお、その3つのフェーズには異なる目的とスキルが存在しているのだといいます。

① 関係開始:この人は良い印象だ

② 関係継続:この人をもっと知りたい

③ 関係深耕:この人の力になりたい

(「はじめに」より)

つまり、これら①〜③のフェーズに応じたスキルを身につけることによって、「神雑談力」を身につけることが可能になるということ。

ちなみに著者は、お笑い芸人として6年間活動したのち、人事系コンサルティング会社やインバウンド系事業のスタートアップを経て「株式会社 俺」という会社を立ち上げた人物。

“夢諦めたけど人生諦めていない人のために”をコンセプトに、お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」や笑いの力で組織を変える「コメディケーション」を展開しているのだとか。当然のことながら、そこでも「神雑談力」が活かされているわけです。

本書では、「神雑談力」に加えて、これまでのお笑い芸人時代に数々の「一流芸人の先輩方に学ばせていただいたスキル」や人事コンサルタント時代に「自社の離職率を0%にしたノウハウ」、そして株式会社俺の経営者として、「260社、2万6000名以上の方と関わり完成した神雑談力」を余すことなくお伝えできればと思います。(「はじめに」より)

ここでは第2章「笑いは最強の武器である」のなかから、「自己開示」の仕方についての考え方を抜き出してみましょう。

自己開示で気をつけるべきポイント

当然ながら、自分のことを相手に知ってもらうためには「自己開示」が不可欠。すなわち、自分のことを相手に話す必要があるということです。ただし、自己開示については気をつけなければならないことがあるのだといいます。

それは、自己開示レベルを合わせるということです。実は、自己開示にはレベルが存在しており、互いの自己開示レベルを合わせなければ相手から「え……? 何この人……」となってしまうことがしばしばあるわけです。(66ページより)

たとえば、田中さんと鈴木さんが関係を開始するために会話を始めたとしましょう。まず田中さんは、「はじめまして、田中といいます。趣味は映画です」と自分の趣味を自己開示して伝えました。

その自己紹介に対して鈴木さんが、「はじめまして、鈴木といいます。僕の浮気で昨日離婚したんですよ」と、初めての相手には口にしないであろうことがらを自己開示したとします。そんなとき聞いた田中さんは、「この人、少し気持ち悪いかもな……」と感じるのではないでしょうか?

これは非常に極端な例ではありますが、つまり初対面でことばを交わすにあたっては、相手が自己開示しているレベルに合わせる必要があるということのようです。(63ページより)

話が苦手な人は、誰かが話しかけてくれる自己紹介をする

著者はここで「人見知りで、話しかけるのが苦手な方向けの自己紹介法」を明らかにしていますが、その前提として、そんな人の自己紹介の問題点を指摘しています。

いうまでもなく自己紹介の本来の目的は、自分のことを覚えてもらうことであるはず。にもかかわらず、大半の自己紹介には意図がなく、「ただ声が出ているだけの状態」になっているというのです。しかしそれでは、相手の印象に残らないのは当然です。

そもそも人見知りで話しかけるのが苦手であれば、誰かが話しかけてくれるような自己紹介を作る必要があります。そのためにはターゲットを絞った自己紹介をするように心がけてください。(67ページより)

たとえば先の田中さんは、「はじめまして、田中といいます。趣味は映画です」と自分の趣味を自己開示しました。しかし、映画が趣味だと聞いても、相手は「へー、そうなんだ」と聞き流してしまうというのです。

なぜなら、「映画」を好きか嫌いかと言われれば、人口の過半数がまあ好きな方だからです。同様に、「読書」「音楽」「スポーツ」なども同じ状態になってしまいます。

相手から、あなたにわざわざ話しかけてくるためには「同類感」を獲得していく必要があります。つまり、映画という汎用的無趣味から、さらに少し価値観を自己開示する必要があります。(67ページより)

つまり、「なんの映画が好きなのか」「なんの書籍・作者が好きなのか」「どのアーティストが好きなのか」「どのスポーツが好きなのか・やっていたのか」など、自分の価値観や経験を開示することでターゲットが絞られるということ。

「私は、映画が好きです。とくに好きな映画は、ロビン・ウィリアムズ主演の『パッチ・アダムス』です」というように具体的に伝えたとすれば、好きな映画が完全に合致する人は、話しかけてくる可能性が高まるということ。話しかけられなかったとしても、関係開始の会話がスムーズに行えるわけです。

このように「自分自身のことを相手に知ってもらう」ために、汎用性が高いものではなくターゲットを絞った自己紹介を行ってみてください。(71ページより)

そうすれば、「ただ声が出ているだけの状態」とは異なり、価値観の近い相手にしっかりと伝わるわけです。(68ページより)

本書を読み終えたころには、「著者だからできるスキルでしょ」ではなく、「こんな著者でもできるならやってみてもいいかも」と勇気が湧いてくるはずだと著者は記しています。「この人と仕事がしたい」と思ってもらえるビジネスパーソンとなるために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: 東洋経済新報社

メディアジーン lifehacker
2023年10月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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