冬はやっぱり、あっつあつの〈おでん〉でしょ! ハートフルストーリー『おでんオデッセイ』刊行記念対談 東京おでんだね×山本幸久

対談・鼎談

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おでんオデッセイ

『おでんオデッセイ』

著者
山本 幸久 [著]
出版社
実業之日本社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784408538471
発売日
2023/11/22
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

あっつあつのおでんに恋をした! 『おでんオデッセイ』刊行記念対談 東京おでんだね×山本幸久

[文] 実業之日本社

 山本幸久さんの最新小説『おでんオデッセイ』は、地方都市にUターンしたアラサー女子が開店したおでん屋台で、個性あふれる客との心の交流を重ね再起していく姿を描くハートフルストーリー。本書刊行を記念して、東京周辺のおでんだね専門店情報を扱うWebサイト〈東京おでんだね〉の主宰者で本書の監修も手掛けた源太さんと山本さんが初対面&初対談。あつあつのおでん談義は、おでんの多様性から美味しい食べ方、おでんだね屋の現在にまで話は及び……。

(文・構成:Webジェイ・ノベル編集部、写真協力:東京おでんだね)

おでんにハマったきっかけは?

――『笑う招き猫』でデビューして20年、『ある日、アヒルバス』『花屋さんが言うことには』など、お仕事小説を主に手掛けている山本さんが、今回おでんをテーマにしたきっかけはなんでしょう?

山本:妻が富山出身なんですが、富山の蒲鉾って板が付いてなかったり、細工蒲鉾のように、お祝いの席で飾ったりする独特な文化があって、まず蒲鉾が面白そうと興味を持ったのが最初ですね。おでんを題材に取り上げている作家も少ないのと、原材料が手に入りやすい環境や屋台を小説に登場させることも考慮して、最終的には地方のおでんだね屋さんを書いてみようと。それで、おでんのことをネットで調べ始めてみると、これがどうやっても〈東京おでんだね〉さんに行き着いてしまうんです(笑)。

源太:ありがとうございます。〈東京おでんだね〉のサイトは2018年10月から始めて5年です。「おでん」と検索するだけだとあまり出てこないんですが、ピンポイントのキーワードの「たね」「調理の仕方」といっしょに検索すると上位に出てくるんです。自分も、おでんのことを調べたくて検索しても自分のサイトしか出てこなかったりして……(笑)。

――おでんだね屋の情報サイトをつくったのはどういう経緯だったんでしょう?

源太:東京・北区の王子で育ったんですが、子供のころはおでんだね屋さんが多かったんです。たねを店で買って、家で調理するのが当たり前の時代でした。大人になってからはしばらく遠ざかっていましたが、40歳を過ぎて、当時のおでんだね屋さんに再会したとき、急に幼いころの一家団欒の思い出が蘇ってきたんです。それで、各地のおでんだね屋さんにも、そういうドラマが隠れているのでは、と思い立って調べ始めたところ、どんどん店が無くなっていくのを目の当たりにして。これはいかんと、おでんだね屋さんを少しでも応援できればという思いで、サイトを立ち上げました。

山本:どんな方がサイトをご覧になってるんですか。

源太:男女の割合は男性6割、女性4割くらいでしょうか。調理法も載せているので、サイトを見ておでんを作っているという男性の方も多くいらっしゃいます。自分が育った地域でもこんな店があったと、思い出を蘇らせている方もいるのかなと。メインは50~60代の方ですね。サイトには累計300本くらい情報がアップされています。冬になると一気にアクセスが増えて、大晦日がピークです。正月を過ぎると、ぐんと落ちます。一番アクセスが少ないのは8月です。今年の夏は最低でした(笑)。


おでん

山本:おでんは冬中ピークが続くと思ってましたが、そうでもないんですね。おせちの後はカレーとか洋物も恋しくなるし、冬でも恵方巻とかイベントもありますしね。

源太:今回『おでんオデッセイ』を読ませていただいて、いい出汁が出た、まさにおでんぽい小説だな(笑)と感じました。主人公の静香はじめ登場人物の個性が強かったり、ものすごく驚くような出来事が起きるわけではないんですが、それぞれの人物の物語がからみあって、ひとつのハーモニーになっているなと。私は主人公の境遇や親との関係に共感を覚えましたが、読まれる方も十人十色で、それぞれのエピソードに自分事として共感されるだろうなと思います。20回も見合いをしているキツネ目の上司も、ストーリーの当初は嫌な奴だったのが、だんだん頑張れという気持ちになってきて、いい味が沁みだしてました(笑)。

Webジェイ・ノベル編集部

J-enta
2023年12月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

実業之日本社

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