試験攻略のプロ・東大生が説く「無駄な勉強」「試験合格への最短ルート」とは?

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東大生が書いた英語試験の攻略本

『東大生が書いた英語試験の攻略本』

著者
東大カルペ・ディエム [著]/西岡 壱誠 [監修]
出版社
大和書房
ジャンル
語学/英米語
ISBN
9784479797951
発売日
2023/11/18
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

試験攻略のプロ・東大生が説く「無駄な勉強」「試験合格への最短ルート」とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

東大生が書いた 英語試験の攻略本~TOEICⓇ・TOEFLⓇ・英検Ⓡを最短で突破する勉強法』(東大カルぺ・ディエム 著、西岡壱誠 監修、大和書房)の目的は、英語を話せるようになることではないのだそうです。なぜならタイトルにあるとおり、「試験としての英語」の攻略本だから。

また注目すべきは、著者が自分たちのことを「あくまで東大生の集団であり、外国語習得や言語学のプロ集団ではありません」と断言している点です。

さらには東大生としての立場から、ひとつ「自分たちはこれに関するプロである」と自負しているものがあるのだそうです。

それは、「試験攻略のプロである」ということ。どんな試験であれ、出題された問題に対して一定以上の点数を取ること、または合格を狙うものについては、プロであるという自覚を持っているというのです。

事実、本書の執筆陣のなかには、英語がまったくできない状態から英検準1級を獲得した人や、わずか3か月の勉強でTOEFL iBT約90点を獲得した人もいるのだとか。

しかし、そんなメンバーの多くは、「今は英語を使えるけれど、英語が話せるようになったのは資格試験に合格したあとからだった」と述べています。(中略)試験の勉強は効率的に最短距離で勉強して、英語を話せるようになるのはその後からでもいいのです。(「はじめに」より)

進学や就職・転職活動、仕事の都合などのため「とりあえず試験を突破する必要がある」という方もいらっしゃるでしょうが、それでもまったく問題はないということのようです。

そうした考え方に基づいて書かれた本書の第1章「すべての試験勉強は『過去問』から始まる」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみたいと思います。

英語試験を突破したいなら、まず「過去問」を解け

効率的に英語試験を突破したいなら、まずやるべきことは参考書を買うことでも、英単語を覚えることでも、計画を練ることでもなく、自分が受ける試験の過去問を解くことだと著者は断言しています。

もちろん、いきなり過去問を解いていい点が取れる人はほとんどいないはず。しかしそれでも、どんな勉強を始めるよりも先に、過去問を解く必要があるのだというのです。なぜならそれが、英語の試験を最速で攻略するためにもっとも重要なことだから。

泳げるようになりたいなら、まず水の中に飛び込んで、溺れそうになりながらも、犬かきでいいから前に進んでいく方が、泳ぎをマスターするスピードは速くなります。

こうして一度水に入っておけば、泳ぎ方や身体の動かし方の説明を受けても「あ、あのときはこうすればよかったのか」とより話がわかりやすくなると思います。

「最終的にどういう状態になりたいか」というゴールがわかっているから、普段の練習の質も高くなるのです。(13〜14ページより)

同じことが、英語の試験にもあてはまるわけです。つまり英語の試験で点を取りたいのであれば、まずは英語の試験問題を解いてみるのがいちばんだということ。

当然ながら解けない問題のほうが多いかもしれませんが、それでOKなのだそう。いうまでもなくそうした経験こそが、以後の大きな資産になっていくからです。(12ページより)

「やってる感」を得るための無駄な勉強はするな

逆に、目標とする試験の過去問を解かずに英語の勉強を始めたとすると、「どんな問題が出題されるのか」を知らない状態で勉強を始めることになります。

しかしそれでは、ただ「やってる感」を得るためだけの、的外れな勉強になってしまいがちだといいます。

たとえば英単語の勉強について考えてみましょう。語彙力を高めようと思ったら、おそらく多くの人は「ひたすら英単語を暗記する」というシンプルな方法を選択するのではないでしょうか? しかし試験の内容、すなわち「過去にどんな問題が出ているか」によって勉強の仕方が大きく変わってくる。だから過去問が重要だということ。

英語の試験の難しいところは、問題の種類がとても多いことだと著者は指摘しています。他の科目の試験や他の資格試験よりも圧倒的に問題形式が多く、「この勉強をしておけばOK」というものが極端に少ないのが英語の試験だというのです。

必要なのは、過去問でしっかりと「なにが出るか」を分析しておくこと。そうでないと、勉強そのものが意味のないものになってしまう可能性があるわけです。

したがって、とりあえず一度、過去問を解き、分析することが大きな意味を持つということのようです。(15ページより)

過去問はいちばん効果的で有効は試験対策の教材

過去問についてのイメージはさまざまでしょうが、著者によれば東大生が考えるそれは決まっているのだそうです。

「他の何よりも効果的な試験対策の教材」

それが過去問です。

試験対策として一番有効なのは、単語を暗記することでも、問題集を解くことでもありません。

「過去問を解くこと」なのです。(18ページより)

「過去問はすでに出題されたものなのだから、もう出ないはず。だとすれば意味がないのでは?」という意見もあるでしょうが、それは完全に間違い。たしかにまったく同じ問題が出題されるケースは少ないけれど、それ以外のことはすべて同じだというのです。

問題の形式、出題範囲、傾向やレベル……すべてが参考になります。

問題の中身は変わっても、形式やレベルや対策方法は大きく変動することはほとんどないのです。

そして、言ってしまえば「それが解ければもう合格」なのです。自分が受けない試験でどんなに点数が酷かったとしても、自分が受ける試験の過去問でいい点が取れていれば、あなたの目標は達成できるわけです。(19ページより)

それほど、過去問対策は効果を発揮するものであるということ。そのため、過去問の対策をすることこそが試験合格の最短距離だというわけです。(18ページより)

もしも短時間で効率的に点数を取りたいのであれば、本書以上に役立つものはないとまで著者は断言しています。限られた時間のなかで成果を出したいという方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: 大和書房

メディアジーン lifehacker
2023年12月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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