「楽しかった」ドラマと「怒られまくった」映画

 小中学生の頃は共演者も年上の方ばかりで、役どころも主演の方の子供時代みたいなケースが多かったのですが、初めて同い年の俳優さんたちとお芝居をさせていただいたのが、2004年、13歳の時に出演した「4TEEN」というWOWOWのドラマでした。直木賞作家石田衣良さんの小説が原作で、月島を舞台に4人の少年の友情と成長を描いた作品です。柄本時生くんや若葉竜也くんたちと一緒に演技するのが楽しくて。憧れていた団体活動に初めて参加できた気がして、無性に楽しくてうれしくて、俳優の仕事を続けていきたいという欲が生まれました。それが本格的に俳優を演技の仕事をしていきたいという想いに繋がり、当時中学2年生で、高校進学のことを考え始めた頃だったので、芸能コースのある高校に進みたいと親に相談したんです。
 そもそも母がスカウトを受けたわけですから、両親がダメと言えるわけもなく、無事に志望校に進学しました。僕たちの期の芸能コースは、中学時代の僕みたいに、普通に高校生活を過ごしたいという生徒が集まっていたので、皆で文化祭や体育祭にも参加して、一般コースの子と一緒にカラオケや、夏休みには海にも行きました。けど、僕みたいに俳優として生きていこうと決めて入学した人の集まりだったから、「あの人より、自分の方が仕事入っているな」みたいな腹黒い想いもあったのかなぁ…。それでも高校は楽しかったですね。
 卒業してからは芸能活動一本でしたが、芸歴が長いせいもあって、現場を怖いって思ったことはなくて。うん、若かった(笑)。怖いもの知らずでちゃらちゃらしていた20歳の頃に出演した映画が井筒和幸監督の「ヒーローショー」でした。ヒーローショーのアルバイトで食いつなぐ若者たちが主人公のバイオレンス青春ドラマですが、井筒監督に、こてんぱんに怒られたんですよ。立ち方ひとつ、怒られて。毎日毎日びびりながら現場に行って、行かないともっと色んな人に怒られるから、行くしかなくて。徹底的に怖かった。けど、今考えればどこか楽しかったんです。監督が芝居の何たるかを教えてくれて鍛えて頂いたのも影響が大きかったです。
 だからかな、出演後、サクセスが広がっていって。「ヒーローショー」を観てくださった吉田大八監督が映画「桐島、部活やめるってよ」で主要キャストの一人である寺島竜汰役に起用してくださって。吉田監督に「良かったよ」って言われても、「そうですか? いや、毎日怖くて」と答えるしかできなかったんだけど、怖かったのが良かったのかもしれませんね。