宇宙飛行士が大切にしている、「決める」ということ――若田光一の仕事術

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2016.08.31_2宇宙飛行士の仕事術とは?(photo by acworks/photoAC)

「宇宙」は古今東西、多くの人の胸をときめかせるワードではないだろうか。「宇宙飛行士」は、そこを目指し日々訓練し、宇宙に飛び立った後は、月や火星など宇宙空間で働くこともある。“一般的”なビジネスパーソンには、特殊で、普通とはかけ離れた職業だと思われるかもしれない。

しかし、現役宇宙飛行士であり、日本人初のISS(国際宇宙ステーション)コマンダー(司令官)を務めた若田光一さんの著書『一瞬で判断する力』には、どこの会社のどの管理職でも抱えるような問題に直面し、上司や現場との板挟みになりながら、組織の一員として仕事を進めている様子が書かれている。


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■人生は「決める」ことの連続

私たちは、仕事でもプライベートでも、日々小さな決断を積み重ね、「今」を生きている。だからこそ、「決める」という行為をないがしろにすることなく、今まで積み重ねてきた経験や知識を参考にしながら、よりよい判断をしていかなくてはならない。

しかし、忙しい日々のなかでは、1つのことのみに専念することは難しく、常に様々なことを並行させながら判断する必要がある。実際、若田さんもJAXA宇宙飛行士グループ長を担当していたとき、宇宙飛行士チームのとりまとめ、組織の橋渡し役、予定外の出来事などに追われながら、判断し、解決していく必要に迫られていたという。

そこで、常に意識していたのが、仕事に「優先順位(プライオリティ)」をつけること。「組織としてのミッション達成に対する重要度」、また「その作業に要求されている緊急度」という2点を常に把握し、仕分けることだという。

一方で、「今、それに手をつけると、今チームが最も労力を傾けなければならないことが疎かになるかもしれない」と思って迷うことがあれば、「今はそれを手放す」。つまり「迷ったらしない」という選択肢を持つことも決めることも大切だと、若田さんは述べている。

「できない」と感じたときは、物理的にも精神的にも余裕がないということ。余裕がないときに無理をすれば、自分やチームの首を絞めることにもなりかねない。時には、自分にも他人にも、きっぱり“NO”の判断を行なえることも、仕事を進めるうえで大事な能力の1つなのだ。

■優先順位を決める3つのポイント

正しい状況判断能力を磨くために、NASAでは高性能小型ジェット練習機の操縦訓練が重視されており、これは、NASA宇宙飛行士訓練の根幹と言っても大げさではないものだそうだ。「なぜ飛行機の操縦が?」と思うかもしれないが、刻々と変化する状況を見極め、安全を確保しながら臨機応変に対処する必要のあるジェット機の操縦は、状況判断能力を高めるための、格好の訓練となるのだ。

訓練の際、パイロットは次の3つの優先順位を常に意識する。

◆◆◆◆◆

  1.「aviate(操縦)」
  空を飛び、航空機をコントロールする

  2.「navigate(航法)」
  今自分がどこの位置にいて、どこに向かい飛んでいるのかを知る

  3.「communicate(交信)」
  航空交通管理官との交信

◆◆◆◆◆

たとえば、航空機がまさに墜落してしまいそうなとき、自分の位置の確認や、SOSの交信をしていては墜落に至ってしまう。まずは機体の立て直し「aviate」を優先し、機体が安定したら位置や高度を把握する「navigate」、そして航空交通管制と連絡を取り情報を共有する「communicate」するのだ。

つまり、

◆◆◆◆◆

  1.「目の前に起こっているトラブルを安全な状態に立て直す」

  2.「状況を把握する」

  3.「周囲とコミュニケーションをして情報を共有する」

◆◆◆◆◆

という順番になる。これはあくまで、航空機を操縦する際の基本的な優先度を示すものだが、このように「今しなければならないことは何か?」を基準に優先順位をつけていく習慣は、仕事を効率的、効果的に進めるうえで大いに役立つだろう。

日本実業出版社
2016年8月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本実業出版社

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